入社3年目の社員が感じた「困りごと」

困りごとの一つに、入社3年目の藤野佳那子が、

「駐車場は現地に行ってから満車だと知るため困る」

と書いてくれていました。

写真=iStock.com/liebre
※写真はイメージです

それを見た際に「たしかに、自分もサッカー日本代表の試合観戦の際に駐車場が満車ばかりでキックオフに遅れたり、営業先で周辺にコインパーキングがなくて困ったりした経験があるな」と思い出しました。

さっそく調査をしてみると、路上駐車の数が非常に多いことがわかりました。

東京では1秒あたり6万3000台、大阪では3万1000台の路上駐車があるという警視庁・大阪府警のデータが出てきました。

そして「なぜ路上駐車するか」という理由を調べてみると、第1位は、「駐車場が満車、もしくは駐車場がなかった」というものでした。

加えて、駐車場を経営している各社の決算を見ると、運営している駐車場の数が増えれば増えるほど、どこの会社も増収増益になっています。

需要に対して供給が足りない大きな市場を発見

需要に対して供給が足りていない、大きな市場を見つけたと思いました。

「そういえば……」と社員の1人が言い出しました。

「個人宅や月極の駐車場って、使われていないことが多いよね」

確かに、私の実家の裏にも月極駐車場がありますが、そこはずっと空いていました。

子どものころ、正月に親戚が来る時、その実家裏の月極駐車場の大家さんに父親が頼んで、1日数百円で借りていたことも思い出しました。

別の思い出もありました。

私は子どものころ、祖父母によく阪神甲子園球場に連れて行ってもらいました。

祖父は足が悪かった。

ただ、阪神甲子園球場の周辺には駐車場があまりないため、いまはなき甲子園競輪場のあたりに自動車を停めて、そこから歩いて阪神甲子園球場に向かうことになります。

その間に祖父は、何度も何度も休むので、数十分かけて歩きました。

辛そうな祖父と一緒に歩いていると、途中で団地の駐車場が空いているのが目に入ります。

子どもながらに、「あそこに停められたらいいのに」と感じていたことも思い出しました。

つまり、「個人宅やマンションの普段から使われていない駐車場や、契約されていない月極駐車場の車室」に対して、「コインパーキングがない、もしくは満車で困っている人」をインターネット上で引き合わせ、1日単位で使うようにできれば、「なくてはならない」インターネットサービスになるのではないか。

アキッパの構想が生まれた瞬間でした。