世界各国の経済力を測るために使われるのが「ビッグマック指数」だ。日本は一体どのように評価されているのか。ふくおかフィナンシャルグループでチーフストラテジストを務める佐々木融さんの著書『ビッグマックと弱い円ができるまで』(クロスメディア・パブリッシング)より、一部を紹介する――。
ビッグマック
写真=iStock.com/spflaum1
※写真はイメージです

本場のビッグマックは1個850円もする

マクドナルドはアメリカの会社だけど、お店は世界中にある。ビッグマックはアメリカでも日本でもだいたい同じサイズで、味もほとんど変わらない。ただ、アメリカでビッグマックを注文すると、日本円に換算すると850円もする。

なぜアメリカのビッグマックは日本と同じ大きさなのに日本の1.8倍も高いのだろうか?

答えは円と米ドルの交換レートが原因だ。ニュースなどで「米ドル/円相場」という言葉を聞いたことがあると思う。

これが何かを説明しよう。日本で使われているお金は「円」だ。基本的に「円」は日本でしか使えない。一方、アメリカで使われているお金は「米ドル」。一部例外もあるが、ほとんどの国では自国通貨でしかモノやサービスを買うことができない。

したがって、海外に遊びに行ったり、海外からモノやサービスを買ったりする時には、現地の通貨と円を交換する必要がある。日本人がアメリカに行く時は円から米ドルに交換し、アメリカ人が日本に来る時は米ドルから円に交換する。

円が弱くなると千円札1枚では買えなくなる

このように、「円」と「米ドル」を交換する時、何円と何ドルで交換するかを決める必要があるわけだが、その交換比率が「米ドル/円相場」だ。

世の中にはたくさんの国があるので、たくさんの通貨が存在する。それぞれの通貨と通貨の交換比率のことを「外国為替相場」と言う。通貨と通貨の交換は毎日世界中で頻繁に行われているので、外国為替相場は、日本の月曜日の早朝から、アメリカの金曜日の夕方(日本の土曜日の朝)まで、常に変化している。

英国のエコノミスト誌が世界のビッグマックの価格を調べていて、アメリカのビッグマックの価格は平均すると5.69米ドルだそうだ(2024年7月公表のデータ)。

今、円を米ドルに交換しようとすると、1米ドルを受け取るのに150円必要になる。簡単な掛け算をすると、150円(米ドルと円の交換レート)×5.69米ドル(アメリカのビッグマックの値段)=約850円になる。

もし、今よりももっと米ドルが高くなって、円が弱くなって、1米ドル=180円になってしまったら、アメリカのビッグマックは1024円になってしまい、千円札1枚ではビッグマック1個(飲み物・ポテト付きのセットではなく、ビッグマック1つだけ)も買えなくなってしまう。