世界で日本人の労働価値が低く評価されている

復習すると、日本のビッグマックの価格がアメリカよりも大幅に安くなっているのは、2つのことが影響している。

1.アメリカのビッグマックの米ドル価格の上昇率が、日本のビッグマックの円価格の上昇率より大幅に大きいこと
2.円が対米ドルで大幅に安くなっていること

つまり、アメリカでは、ビッグマック1つを買うのに、より多くの米ドルを必要とするようになっているのに、それに加えて、その米ドルと交換するのにより多くの円を必要とするようになっているということだ。

モノやサービスの「価格」が上昇するということは、お金の『価値』が下落していることを意味する。逆にモノやサービスの「価格(値段)」が下落するということは、お金の『価値』が上昇している。

佐々木融『ビッグマックと弱い円ができるまで』(クロスメディア・パブリッシング)
佐々木融『ビッグマックと弱い円ができるまで』(クロスメディア・パブリッシング)

だから、アメリカでビッグマックの米ドル建ての価格が日本よりも大きく上昇しているということは、それぞれの国で別々に考えると、ビッグマックに対して円よりも米ドルの価値の方がより大きく下落していることを意味している。

だから、普通に考えれば米ドルに対して円の価値が上昇しているはずなのに、実際には米ドルに対して円は下落して、大幅に円安が進んでいる。その結果、円で海外のビッグマックを買う時により多くの円を必要とするようになっている。つまり、海外のビッグマックに対する円の価値が大幅に下がっているということになる。

日本国内の閉じた世界では、円の価値はさほど下がっていないのに、国際的に見ると、円の価値が大幅に下がっているということになる。そして、それは円でお給料をもらっている我々の労働の価値が世界の中で低く評価されていることも意味する。

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