高齢者がかかりつけ医を見つける際の注意点は何か。医師の和田秀樹さんは「医師の言葉や態度をよく観察し、自分自身で医師や医療を選ぶという意識をもつことが大切だ」という――。(第2回)

※本稿は、和田秀樹『「せん妄」を知らない医者たち』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

診察中の男性医師
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

医者からこの言葉を言われたらヤバいと思うべし

いくつかの病院や科にかかっていて、結果的に処方された薬が5種類以上になってしまった、という方は意外と多いと思います。本来であれば医者が問診時に、患者が今飲んでいる薬をすべて把握した上で、それでも必要であれば処方せんを書くべきですが、それをせず(知らずに)、あっという間に多剤併用になってしまう。これは残念な話です。

一番ひどいのは同じ医者が5種類以上を処方するケースです。これは最悪です。薬剤リスクを何も知らない医者である、ということを露呈しているようなものです。

そういう医師に限って、

「とりあえず、この薬を飲んでみましょう」

とまずは薬を試そうとします。

これ、ダメダメです。

「とりあえずこの薬」なんて、ダメ用語だと思ってください。

今飲んでいる薬をなるべく減らす方向で考えてくれる、それがよい医師です。

問診時は、しっかりと自分の体調や、今飲んでいる薬や、副作用があればそれも含めた自分の体の症状や変化を丁寧に伝えましょう。

それを最後まで聞いてくれて、「この薬を止めてみましょうか」と言って、しばらくの期間やめることを提案し、その後何の変化もなければ完全にやめる方向に導いてくれる。そんな患者の体調に、丁寧に根気強く寄り添ってくれる医師に出会えるのが理想です。

理想の医者かどうか判別する方法

では、どういう病院に行けばいいのか。

一概には言えませんが、ただ私の印象として、基本的に大学病院の医師たちは、患者一人ひとりが、多くの疾患を抱え多剤処方されているという発想で見ていないので、多剤併用になりがちです。

私は地域に密着した病院で、そういう医師を探すのがよいと思います。

今かかっている医師が「理想の医者であるか」、試してみてもいいと思います。

お薬手帳や薬を持参して、これまで飲んでいる薬を見せます。

そして、自分の体の変化や日頃の生活上の問題点などを細かく伝えます。

その時、「数値がこんなに悪いんだから、飲まないとダメですよ!」と頭ごなしに命令する医師とは、もうおさらばです。

付き合うのをやめましょう。

「この薬を飲んでみましょうか。でもこういう副作用があるので、徐々に減らしていけるように、また様子を聞かせてください」

と「薬を減らす」方向で、向き合ってくれる医師だったら、とりあえずそのままその医師を継続していいと思います。

そうやって、互いに丁寧に会話を重ねて、信頼関係を築きながら選んでいく。

これが医師と患者の理想的な付き合い方です。受け身でいては何も変わりません。

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