「ビジネスの最先端はアメリカにある」という理解は、本当に正しいのか。バブソン大学准教授の山川恭弘さんの書籍『バブソン大学で教えている 世界一のアントレプレナーシップ』(講談社)より一部をお届けする――。

「アメリカのほうが先を行っている」は本当か

アメリカで一年の大半を暮らしていて時折聞かれる質問に「アメリカと日本の違い」があります。そういった質問の端々に、「アメリカのほうが先を行っている」という意識、スタートアップ大国アメリカに対して、後れをとる日本というニュアンスを感じることもあります。

たしかに、ビジネスの世界では「アメリカで起こったことは、そのまま世界に波及する」という傾向があります。IT業界、マーケティング業界はとくにアメリカ主導の傾向が強いです。

アメリカが「先進」であり、正しいように思えますが、日本人としてアメリカの大学で教鞭をとる私の答えはこうです。

「アメリカってそんなに先を行ってるのか? 日本はそんなに乗り遅れているのか?」

アメリカと日本の国旗
写真=iStock.com/MicroStockHub
「アメリカのほうが先を行っている」は本当か(※写真はイメージです)

最近のアメリカは荒れている

4つの州(カリフォルニア州、オハイオ州、テキサス州、マサチューセッツ州)に住んだ経験から、言葉を選ばずに言うと、「最近のアメリカはちょっと荒れてないか?」と感じることも多いです。

そんな話をしていたある時、会話の相手からこんなことを言われました。

「でも山川さん、大昔の話ですが、Japan as No.1って言われた時代がありましたよね。アメリカ企業がこぞって日本型経営を研究した時期がありましたよね」

ビジネスのトレンドがアメリカ発なことが多いのは事実ですが、アメリカ人が日本型の経営について学んだ時期もたしかにあったのです。