電気を止められて生まれたミッション・ビジョン

akippa社のミッション・ビジョンはある出来事をきっかけに生まれました。

2012年に資金難に陥り、ベンチャーキャピタルから6500万円の出資を受けることができたのですが、会社にお金がなくなるのがイヤで、自分の給料は本当に最低限の金額にしていました。

キャッシュフローをギリギリで回すために、電気代、水道代、ガス代なども自動引き落としにせず、いつもコンビニ払いにしていました。

あるとき出張から戻ると、電気代を払い忘れていて、家に帰ったら電気が止められていたのです。

当たり前ですが、電気がないと、ものすごく不便です。

一番やっかいなのが、冷凍庫の霜が溶けて、水が漏れてしまうこと。

夜なのに蛍光灯がつかず、真っ暗。テレビも見られない。

そんな暗闇の中で過ごし、後日部屋に明りが灯った時、思ったのです。

「電気ってすごい。電気は本当に必要不可欠なものなのだ。電気みたいになくてはならないサービスをつくりたい」

そう強く思いました。

これを会社のミッションにしよう!

これがきっかけとなって、2013年の春に、ミッション「“なくてはならぬ”をつくる」が制定されたのです。

生活で困っていることを200個書いたら、「アキッパ」が生まれた

「“なくてはならぬ”サービス」とはどんなものだろう?

そう考えた際に、一つの定義を決めました。

なくてはならぬサービスとは、世の中の困りごとを解決するサービスだと定義しました。

であれば、困りごとを社員全員で挙げて、それを解決するインターネットサービスを生み出せばよいと考えました。

出社したある日、私はオフィスの壁に大きな模造紙を貼り出しました。

生活する中でどんな困りごとがあるか、社員のみんなで思いつくままに200個書いてみたのです。

「既読をつけずにメッセージが読めたらいいのに」
「いまの家では犬が飼えないけれど、犬の散歩だけしたい」
「衣替えのタイミングがわからない」
「漫画を何巻まで読んだか忘れてしまう」
「お菓子の食べすぎを注意してほしい」……

意外と出るもので、200個すべてが埋まりました。

もしこのお題が「200個の『事業アイデア』を書いてほしい」であれば、ここまでの数は出てきません。ブレスト(ブレインストーミング)と言っているものの、「自分のアイデアを誰かが心の中でよく思わなかったらいやだな」などと抑制がかかってしまうからです。

ですが、「生活していて困ること」は、意外と誰でも思いつくものです。