反対意見を成果につなげる方法

ここまでは会議の反対者が現れたときに無益な争いを避けるためにすべきことについて解説しました。ここからは、反対意見を活かして成果につなげる方法を解説します。

そもそも議論において、自分と異なる意見が出てくるのは歓迎すべきことです。むしろ、全員が同じ意見しか言わないのであればわざわざ会議を開いて議論する必要がありませんし、そもそも議論になりません。

それでは、反対意見が出てきたときの対応方法にはどのようなものがあるでしょうか?

①反対意見を論破して自分の意見を押し通す
②自分の意見を引っ込めて反対意見を採用する

おそらく多くの方は上記の2つを思い浮かべたのではないでしょうか?

自分の意見と相対する意見の2つであれば、どちらかより優れたほうを採用してもう片方は不採用、というのがシンプルな考え方です。

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もちろんこのような考え方にも一理ありますが、ビジネスの場で行なう会議は基本的にはディベートではないはずです。大切なのは議論の白黒をはっきりさせることではありません。それよりも、参加者全員で1つの目的を達成するために協力することが重要です。

その考え方を踏まえると、反対意見はむしろ議論の質を向上させるために使うべきですし、反対意見を述べてくれる人は感謝すべき存在です。

とはいえ、いったいどうすれば反対意見を活用して議論の質を上げられるのでしょうか?

その答えが「弁証法」です。

対立から新しい段階へ進化を導く弁証法

弁証法とは、対立する2つの要素である「テーゼ(主張)」と「アンチテーゼ(反対意見)」が衝突し、それによって新しい段階「ジンテーゼ(主張と反対意見を統合した新しい意見)」が生み出される進化の過程を指します。この考え方は、哲学、歴史、科学、社会学など、さまざまな分野で用いられています。

ちょっとわかりにくいかもしれないので、具体例を見てみましょう。