株式投資では銘柄選びが重要となる。投資歴35年以上のライター・安恒理さんは「配当利回りや株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)など、割高か割安かを示す指標は複数ある。どれか一つだけで購入を判断するのは極めて危険だ」という――。

※本稿は、安恒理『5万円からはじめる! 1億円を作る株式投資』(宝島社)の一部を再編集したものです。

「割安」「割高」をチェックする指標

とても有望だと思われる銘柄を見つけたとします。

業績も良い、将来性のある事業を展開している……。しかし、それだけの判断で株を買ってしまっては、そこに落とし穴があるかもしれません。

業績も良く、将来性のある事業ということがわかっていれば、ほかの投資家も承知しているはずです。すでに多くの投資家に買われていて、株価が割高になっているケースもあります。割高になっていたとしたら、値上がりする余地は小さく、また下落するリスクも大きくなっています。

そこで、ターゲットにした銘柄の株価は、割高なのか割安なのかをチェックしたいところ。「割高」「割安」を計る「モノサシ」は次のように、いくつもあります。

・配当から割り出す「配当利回り」
・会社が生み出した純利益から割り出す「株価収益率(PER)」
・会社の純資産から割り出した「株価純資産倍率(PBR)」
・会社が資金をどれだけ有効に使って利益を出しているかを知る「株主資本収益率(ROE)」

本稿で、それぞれについて説明していきましょう。

長期保有するなら配当利回りを重視

企業が稼ぎ出した利益の中から株主に還元される配当金。この配当金の額から株価水準を割り出す指標を「配当利回り」といいます。

算出法は、1株あたりの1年間の配当額を株価で割って(×100)求めます。

配当利回りの数値が高いほど投資家にとって魅力的ということになります。

100万円で年間配当が4万円あったとしたら、配当利回りは4%ということになります。これは配当額がずっと変わらないことを前提とした場合、25年保有すれば元金はすべて回収できることを意味します。配当利回りは長期保有を前提に投資する時に重宝します。

今、銀行預金の利息は定期預金であっても1%をはるかに下回る利回りになっています。上場企業の配当利回りであれば3%、4%という数値も珍しくありません。低金利時代、株価低迷期には、配当利回りはより注目されます。

ただ注意しなければならないのは、配当金は変動するということ。業績が良くなれば「増配」、業績が悪くなれば「減配」ないしは「無配転落」ということもあります。