外資系のグローバル企業では「会議の前の根回し」はどうしているのか。国際エグゼクティブコーチのヴィランティ牧野祝子さんの著書『結果を出してサクッと帰る 神速時短』(すばる舎)より、海外企業の意思決定についての解説をお届けする――。
海外の企業で働いて驚いたこと
「日本企業は『人の和』を大切にして、意思決定までに他の人の意見を聞いて根回しする」
「グローバル企業はシステマティックで人と人とのつながりは薄く、意思決定は会議だけ」
そんなイメージを持っていた私は、海外の企業で働いて驚きました。
グローバルな企業ほど、意思決定の前に入念な準備と根回しを行っていたのです。
ここではそのプロセスを見て得た気づきをお伝えします。
例えば来週、ある企業で社長と部長3人(Aさん・Bさん・Cさん)、つまり意思決定者が集まる定例会議があるとします(実際はもっと人数が多いですが簡略化します)。
その際のアジェンダのひとつが、「A部長が進めているプロジェクトに、会社として投資するか」の決定です。
即決できる企業は「根回し」から始める
このプロセスを、いくつかのステップに分けて、「即決時短企業」と「決断苦手企業」との違いを例に見ていきましょう。
まずは「即決時短企業」です。
【ステップ1】関係者への根回し・意見のアウトプット&フィードバック
来週の定例会議に向けて、何とかプロジェクトを通したいと思っているAさん。
Bさんはどうやら反対の立場のようなので、中立的なCさんに壁打ちを頼みます。
その際に役立つのが、プロジェクトを実施することで生まれるメリットとデメリットをまとめた1ページ資料(「1pager」と言ったりします)です。
これを持って、AさんはCさんとお茶を飲みながらカジュアルに話します。
「こんな理由で、当プロジェクトは絶対に会社にとって良いと思うんだ。顧客にもメリットがあるし、社内の要望でもあるんだ」