コロナとウクライナで右往左往してきた世界
図表3には、政治家と首脳との年齢相関を掲げた。ドイツ、韓国はやや例外であるが、おおむね政治家と各国首脳とには年齢の相関が認められ、米国は双方が高齢である点で目立っている。やはりバイデン大統領は例外ではないのである。逆に、フランス、英国は政治家が若いので首脳も若い。
次に、各国の国政選挙の背景として重要な世界の主な懸念事項の推移について概観してみよう。
パリに本社を構える世界的なマーケティング・リサーチ会社であるイプソス(Ipsos)社は「世界が懸念していること」(What Worries the World)調査を10年以上、毎月、30カ国近くの2万人超(各国1000又は500人)を対象に実施している。
図表4には、その世界平均の結果を月次推移グラフで示した。
世界平均で2019年まで「失業」「貧困・格差」「犯罪・暴力」「政財界腐敗」(=汚職・Financial/political corruption)の4大懸念事項が世界の人々の意識にのぼっていた。
ところが、2020年からは、折から大流行がはじまった新型コロナへの懸念とそれにともなう失業の懸念が世界中で1位、2位に浮上した。
その後、新型コロナのインパクトが弱まりつつあった2022年にはロシアのウクライナ軍事侵攻がはじまり、それにともなってエネルギーや穀物価格の上昇を通じ、インフレの懸念が大きく高まり、突出した懸念事項となった。
2024年の現在では、インフレの懸念もやや収まりつつあり、再び、新型コロナ以前の4大懸念事項の時代に戻って来ている。
コロナの猛威とロシアのウクライナ侵攻に伴うインフレーションで右往左往してきた世界各国だが、ここのところ、この2つの脅威は去りつつあり、コロナ以前からの「貧困・格差」「犯罪・暴力」「政財界腐敗」「気候変動」といった現代社会の宿痾に再度正面から立ち向かう必要が生じていると言えよう。