貧困・格差や政界腐敗に揺れる日本

そのため、各国の政治対立の背景として、世界共通の脅威というより、各国固有の課題が浮上してくる。そこで、各国の国民が脅威と感じている課題の差異について、以下で概観してみよう。

【図表】日本はインフレ、犯罪・暴力の懸念より、貧困・格差、政界腐敗への懸念が目立つ

各国別に毎月のデータは得られないので、毎年1回のデータの推移を追った。図表5には日本の推移を米国や韓国と比較した。

日本の推移は、次の図表6との比較も含めて、新型コロナへの懸念の起伏が他国より大きい点、また2022年以降のインフレへの懸念が他国ほど高くなく、1位になったことがない点が目立っている。前者については高齢化率が世界一である点が背景にあり、後者については実際のところインフレ率が他国ほどでないからである。

日本は2024年に政財界腐敗への懸念が23年の13%から31%へと急増しているが、23年末以来政治問題化している自民党派閥の資金パーティー裏金疑惑のためと考えられる。これが次期総選挙で自民党が大敗する予想の根拠となっており、そのため、解散や総裁選を含む政治日程の手詰まり状態がもたらされている。

米国は、インフレへの懸念が大きい点と犯罪・暴力への懸念がこのところ2位で他国より大きくなっている点が目立っている。インフレ懸念がなかなか収まらないので、政策金利を低金利へと転じられず、日米の金利差が大きい状況が続き、円安も収まらない背景となっている。

韓国では、なお社会経済構造になお未熟なところを残しているためか、失業への懸念が新型コロナ以前から高く、また、政財界腐敗(汚職)への懸念が傾向的に高い点などが目立っている。