乱立する党首選候補者
早ければこの秋、遅くとも来秋までには、政権選択のかかる衆院選が控える中、今月、国会の第1党と第2党の党首選が、同時並行で行われることになった。自民党が、再選を断念した岸田文雄首相の後任を選ぶ総裁選の日程を9月12日告示、27日投開票と決めた。野党第1党の立憲民主党は、泉健太氏の任期満了に伴う代表選を一足先に9月7日告示、23日投開票で実施する。
自民党の新総裁は次の首相となり、立憲民主党の代表は来たる衆院選で、その首相に挑む「首相候補」になる。また、勝った候補者の掲げた政策が、それぞれの党の軸となり、衆院選の選挙公約につながる可能性も高い。このため、国民の関心はいやでも高まらざるを得ない。
派閥解消の流れの中、同じ旧派閥から2人の候補者も出るなどで、この自民党総裁選ではこれまでになく多くの候補者が名乗りを上げている。
本稿では、現在(9月5日)までに立候補を宣言したり、立候補に意欲を示している候補予定者について、年齢、地域など統計データで追える限りの分析を試みることとしたい。
最初に、各候補者のプロフィールを表のかたちで整理した(図表1、2)。自民党総裁選の候補者については肩書、年齢、選挙区、当選回数、世襲基盤、学歴、配偶者について、立憲民主党代表選については、このうち世襲基盤、配偶者を除いた項目を掲げた。
年齢や選挙区地域については、下で別個にふれるとして、それ以外の項目を概観しておこう。
当選回数については、自民は4~12回、立憲は吉田候補を除き7~10回となっており、立憲が基本的にキャリアの長い議員が多いのに対して、自民は4~5回とキャリアが比較的短い議員も複数含まれている。
当選回数を重ねた重鎮議員しか立候補を予定していないという点からは立憲のほうが古色蒼然と言わざるをえないだろう。自民のほうは派閥解消の効果が多かれ少なかれ出ているのかもしれない。
●世襲
自民について親族の地盤を引き継いでいる世襲議員は11人の候補予定者のうち6人と過半数である。4人は父親の地盤を引き継ぎ、父親以外では、野田聖子候補は祖父、加藤勝信候補は妻の父親の地盤を引き継いでいる。
年齢との関係では、世襲議員のほうが年齢の割に当選回数が多いことが分かる。例えば、茂木敏充候補と石破茂候補は1歳違いだが当選回数では父の後を継いだ石破候補が2回多くなっている。小泉進次郎候補が43歳という若さで5回の当選回数を重ねているのは、当然、父親の小泉純一郎元首相の後を継いでいるからである。年齢より当選回数で党内の地位と役職上の出世が決まる側面が大きいので、当然、世襲議員が早く偉くなる可能性が高くなるのである。