河野太郎デジタル担当大臣が進める「マイナ保険証」に批判が集まっているのはなぜなのか。医師の森田洋之さんは「河野太郎氏および政府はマイナ保険証のデメリットを伝えず、都合のいい情報だけを発信している」という――。

「12月で紙の保険証が廃止」はデマ

マイナンバーカードを保険証として利用する「マイナ保険証」の導入にともない、「今年12月で紙の保険証が廃止になる」という話が広まり、医療現場に混乱が生じています。

ただこの話は実は半分は本当、半分はデマです。12月に紙の保険証の新規発行がストップするだけで、それ以降も紙の保険証を使うことは可能です。

サークルプラカードを持った女性
写真=iStock.com/78image
紙の保険証を使うことは可能(※写真はイメージです)

河野太郎大臣の情報発信に原因

なぜこのようなデマが広まったかと言うと、ひとえに河野太郎デジタル担当大臣の情報発信に原因があると言っていいかと思います。

2022年10月に河野大臣は記者会見で「2024年秋に現在の健康保険証の廃止を目指す」と表明し、「マイナ保険証のかわりに紙の保険証が廃止」という誤解の「素地」を作りました。

またその後2024年4月には、「デジタル大臣 河野太郎」名義で、「自民党所属国会議員各位」あてに送った文書が問題になりました。

その中で河野大臣は「マイナンバーカード保険証の利用率が低迷しています。その原因は、医療機関の受付での声掛けにあると考えられます」と決めつけ、さらに「マイナンバーカード保険証での受付ができない医療機関があれば、マイナンバー総合窓口にご連絡くださいますよう」と、暗に「通報」を促すような文面で、マイナ保険証普及を訴えていました。

この問題がメディア・国会で追及され始めると、河野大臣は2024年6月11日の定例記者会見において、「何事もやりすぎということにならないように気をつけていただく必要はある」と発言。まるで「混乱の原因は医療機関の説明にある」とも取れるもの言いに、ネット上には「責任逃れだ」という批判が相次いで投稿されました。