「災害時は無料受診」のウソ

この問題について、政府は「災害時は保険証がなくても特別に無料受診できるようにするから大丈夫」と答えています。

ただ、政府が医療費を負担してくれるのはおそらく大地震や洪水といった大規模災害の場合に限られるでしょう。

マイナンバーを読み取る機械はちょっとした停電でも使えなくなります。台風で数時間にわたり停電になることもありますが、その際も政府が医療費を負担してくれるのでしょうか? 残念ながらその可能性はまずないでしょう。

災害時でなくとも、「通信障害」や「機器の不具合」は発生します。その際にいちいちマイナ保険証が使えないのは大きなデメリットと言えるでしょう。

暗い部屋で輝く懐中電灯
写真=iStock.com/Toru Kimura
ちょっとした停電でも使えなくなる(※写真はイメージです)

「非常時のためにアナログを残しておく」発想は重要

災害時にも使えるように、カードに保険証番号を記載する等の対策が必要ではないでしょうか。

「すべてをデジタル化するのではなく、非常時のためにアナログを残しておく」

という発想は重要だと思います。

マイナ保険証の2つ目のデメリットとして、「電子カルテの統一化は無理」という問題もあります。

政府は、マイナ保険証の導入などのデジタル化で、病院と薬局で薬剤情報を共有したり、病院同士で電子カルテなどの情報を共有したりして国民の健康管理に貢献する、といった主張をしています。

しかし、これはほぼ不可能です。