河野氏および政府の情報発信は問題

河野大臣および政府がマイナンバーカードの普及を目指すのは理解できます。マイナンバーカードの普及により、手続きの簡素化や行政の効率化ができれば、社会全体に大きなメリットがあるでしょう。

ただ、情報発信の仕方は問題です。政府に都合のいい情報しか出さない、という手法は、国民の代表たる政治家が採用してはいけないものだと思います。

閣議後、記者会見する河野デジタル相、2024年8月15日
写真提供=共同通信社
河野太郎氏と政府の情報発信は問題(閣議後、記者会見する河野デジタル相、2024年8月15日)

マイナ保険証の「3つのデメリット」

そもそもマイナ保険証の普及とは、国民を騙すような情報発信をしてまで達成すべき目標なのでしょうか?

私は鹿児島でクリニックを経営していますが、その経験から申しますと、マイナ保険証には3つの大きなデメリットがあり、現状はメリットを上回っているのではないかと思います。

まず、マイナ保険証だと「災害時・通信障害時に対応できない」のが問題です。

マイナ保険証とは要するにマイナンバーカードそのものです。マイナンバーカードを病院に置いてある機械にピッと通すと、番号などが病院に通知される仕組みになっています。

そのため、マイナ保険証には「保険証番号」が記載されていません。

ということは、災害時・停電時などで機械が動かない場合、医療機関には保険証番号がわからない、ということになります。その場合当然ながら病院も患者さんも困ってしまいます。