時間が確保出来ず、やる気だけが空回りしている
30代後半の男性Bさんの場合、審査をパスするために資格の勉強をしていますが、思うように進みません。
Bさんの会社では課長に昇進する条件として、仕事に関係のある国家資格を取らなければなりません。そのため、社労士を目指しているのですが、勉強時間が十分に確保できないでいました。
毎朝、通勤の際、電車のなかで基本項目に目を通しています。金曜日には気分転換と情報交換を兼ねて、会社の仲間などとの飲み会に参加していますが、土日のどちらかはじっくりと勉強することにしています。
しかし、思うように勉強の効率は上がりません。通勤電車では前日の疲れなども残っているのか、ついつい眠ってしまったり、満員電車のなかで勉強どころではなくなってしまうこともあります。
好きなお酒はどうしても外せないので、唯一、息抜きのできる金曜日に飲みには行くものの、土日のどちらかは子どもと遊んだり、ゴルフなどの接待に出かけたりすることも少なくないので、週末は期待値が高いほどには充実しません。
できれば週末も朝の勉強のゴールデンタイムを活用したいと思ってはいるものの、朝の時間はなかなか確保できません。
2人とも、頭のなかでは朝活を充実させたり、週末の時間を有効活用したりして、効率的な時間管理を目指しています。しかし、理論に実行力がついていきません。結局、やる気だけが空回りしている状態なのです。
時間管理全体のバランスが悪いと計画は進まない
では、Aさん、Bさんの時間の管理はどの点に問題があるのでしょうか。
2人に共通しているのは「どちらも特定の時間帯への期待値が高すぎる」ということです。
Aさんの場合は朝の時間帯、Bさんの場合は週末にそれぞれ過度の期待を寄せています。そのため朝や週末にイレギュラーな予定が入ると、スケジュール通りに予定が進まなくなってしまうのです。
AさんもBさんも朝活をするとか週末に勉強やゴルフをするなど、その部分ごとの計画、すなわち物流でいうところの「部分最適」が間違っているわけではありません。
しかし、時間管理全体のバランスが悪いため、こちらも物流でいうところの「全体最適」が実現されていないことがネックとなって、計画が進まないのです。
物流でいうところの「部分最適」はできていても、「全体最適」が実現されていないという状態なのです。
部分最適と全体最適については、後ほどあらためて説明しますが、滞りをなくすには全体最適が必要になります。
「その部分だけが最適化される」という部分最適の状態だと、どうしても滞りが発生してしまいます。
したがって、日常生活を滞りなく進めるにはまずは、「特定の曜日や時間帯に過度な期待を抱かない」ことが重要になってくるのです。