学生たちの悩みの多くは滞りが原因

本論に入る前に、自己紹介も兼ねて、時間管理に関わる私の話をいくつかお伝えしたいと思います。

私の専門は「物流・ロジスティクス」になりますが、大学では研究室を運営していることから、学生の相談に乗ることも少なくありません。

また、物流関連の企業などと共同研究をしたり、勉強会を開催したり、懇親会などに参加することも多いので、自然と社会人と知り合う機会も増えることになります。

そうした学生や社会人が私を頼ってアドバイスを求めてきたり、私のほうからある種の義務感や責任感を感じたりして、「……したらどうかな」というかたちで相談に乗るようになりました。

ただし、私は物流の専門家なので、学生のためにもゼミのOBや社会人の方のためにもなるのではないかと考えて、物流の視点からの例えを入れながらのアドバイスをしてきました。

すると、自分でも「意外だったが確かにその通りなんだな」と思ったことがありました。それは「物流の視点からのアドバイスは、人の悩みの滞りをなくす共通点が多い」ということです。

実際、学生・社会人を問わず、悩みのほとんどは「滞りをなくす」という視点から物流のセオリーを当てはめていくと、解決できることがわかったのです。

全体を最適化させないと滞りが生まれる
出所=『はかどる技術

全体最適を実現するキモとなるのが「滞り」

学生や社会人の悩みにはさまざまなものがありますが、真面目で向上心のある方の悩みは得てして、「どうすれば自分の時間を確保しつつ、キャリアプランを充実させてキャリアアップをはかっていけるか」ということに行き着くように思えます。

もちろん、その悩みの背景に、各自のバックグラウンドが深く関わってきます。

たとえば、学生の場合、「就活と大学の勉強を両立させるにはどうすればよいだろうか」「大学の勉強と並行させて、資格試験に合格するためにはどんな工夫をすればよいか」といった内容がかなりのウエイトを占めています。

そうした学生の多くはちょっとした「制約条件」(つまずき)に振り回されて、先の言葉でいえば全体最適ができなくなっているのです。

したがって、私としては、「どのようにすれば全体最適に導けるか」という視点で相談に乗ることにしています。わかりやすくいえば、全体最適を実現するキモとなるのが「滞り」をなくすということになるわけです。