どうすれば時間を有効活用できるのか。編集者の柿内尚文さんは「『相手ベースの時間』を減らし、『自分ベースの時間』を増やすことが大切だ。たとえば、上司からやらされている仕事の意味を自分の中で変換して、『自分ベース化』できないか考えれば、時間の価値を高めることができる」という――。

※本稿は、柿内尚文『このプリン、いま食べるか? ガマンするか?』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

地下鉄の車内
写真=iStock.com/Irina274
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電車での音漏れにイライラしたら…

質問です。電車に乗っていた時のこと。

あなたの隣で、大音量の音楽を聴いていてイヤホンから音漏れしている人がいました。うるさくてイヤな気分です。こんな時、あなたならどうしますか?

音漏れさせている人、たまにいますよね。周りにいる人たちもイヤな気分だと思います。

音漏れさせている人は自分のことしか考えていません。

これを時間という軸で見ると、こういった迷惑な行為をしている人は、自分の視点だけで行動しているので「自分ベースの時間」で生きています。

一方で、不快な気分にさせられている周囲の人は、音漏れの人が原因なので、他者に自分の時間を侵食されている状態です。つまり、「相手ベースの時間」です。

ここで「自分ベースの時間」と「相手ベースの時間」をあらためて定義しておきます。

「自分ベースの時間」→自分軸で行動している時間
「相手ベースの時間」→他人に侵食されている時間

時間の価値を高めるには、いかに「相手ベースの時間」を減らし、「自分ベースの時間」を増やすかが大切です。

もちろん、自分ベースの時間が大切だからといって、音楽を大音量にして、他人の時間を音漏れで侵食するのはマナー違反です。

「相手ベースの時間」は、自分にとって時間価値が低い状態

ここで先ほどの質問に対する僕の回答を紹介します。

電車で音漏れに遭遇した場合は、たとえば次の駅で隣の車両に移れば自分ベースの時間を取り戻せます。

無理してその車両にガマンして居座ると、音漏れが聞こえてくる間は「相手ベースの時間」を過ごさなければならなくなるので苦痛ですよね。

また、その時に感じたイライラが、その日の気分にずっと影響することもあるかもしれません。

僕は、こういう時は自分もイヤホンをして音楽を聴いたり、動画を見たりします。そうすると、隣のことはもう気にならなくなります。

こうやって、自分ベースの時間を取り戻していきます。

たとえば、仕事で「自分はやりたくないんだけど上司からやらされている」という業務の場合。「やりたくない」という感情に支配されたままでは、ベクトルが他人に向いていて、「相手ベースの時間」になっていきます。それは自分にとって時間価値が低い状態です。

自分の時間は、自分の持ち物です。

だから、「自分ベース」として時間に向き合うと、自分にとって価値の高い時間を生み出せます。

イヤなことがあった時にどう向き合うかで、人生は変わっていくのです。