※本稿は、柿内尚文『このプリン、いま食べるか? ガマンするか?』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
食事を最高においしくする簡単な方法
問題です。
食事を最高においしくする簡単な方法とは、なんでしょうか?
あなたなら、どう答えますか?
僕の回答はこうです。
「とにかくお腹をすかせること」
いくら素晴らしい料理だったとしても、お腹がすいていない状態では、そこまでおいしく食べられません(一部食通の人はそんなことはないかもしれませんが)。
おいしく食べるために大切なのは、料理の味だけでなく、そこまでのプロローグです。人生の節目というストーリーもプロローグになりますし、なによりお腹がすいていることは最高のプロローグです。
「おいしいものを食べたい!」と思った時、通常は「おいしい料理」のほうに意識が行きます。でも、実はおいしく食べたければ、食べるまでの「プロローグ」も重要なのです。
「プロローグ」とは序章とか序幕のことですが、時間のプロローグは「ゴール(目的)を盛り立てるためのプロセスストーリー」を指します。
「行列に長時間並んで」食べるラーメン。
「創業から継ぎ足した秘伝のタレ」のうなぎ。
上記の「」の部分がプロローグになって、おいしさを引き立ててくれます。食べることだけではありません。
おいしいビールを飲むためにサウナで汗をかき、のどの渇きをガマンする。
休みの日を最大限楽しむために日々の仕事をがんばる。
凄腕営業マンが大切にしていること
大切なのは、ゴール(目的)までの「プロローグ」。
この「プロローグ」をつくると、記憶に残るゴールが生まれます。
「プロローグ化」が時間の価値を高めてくれるのです。
営業の仕事ですごい売上を出している知人がいます。
彼に、なぜ営業成績がそんなにいいのか聞いたことがあります。
「自分は話が特別うまいわけでもなく、その場で営業先の人を盛り上げたり、その気にさせたりは苦手なんです。その代わりに自分が大切にしているのが『プロローグ』です。
営業で大切なのは、商品を売る瞬間よりも、売るまでのストーリーだと思ってます。商品を相手が買いたくなるまでのストーリーを描いて、そのストーリーを実行に移します。愚直にそれをしていたら営業成績につながったんです」
彼は、風の強い大雨の日にズブ濡れになりながら、営業先を訪ねたそうです。
その姿が営業先に響き、取引につながったことがあるそうです。
このストーリーづくりも、「プロローグ化」のひとつです。
ちょっとあざとい感じもしますが、そんな彼の姿が相手の心を動かしたのです。
プロローグ化は、ゴール(目的)を最大限に盛り上げてくれる存在です。
喜びを大きくして、記憶に残る時間をもたらしてくれる方法なのです。