厄介なコンフォートゾーンをうまく活かすには

このコンフォートゾーンの外側に出ると、内側に戻そうとする機能が働きます。この機能を「ホメオスタシス(生体恒常性)」と言います。ケガが治るのもこの機能です。そのくらい強い力が、体だけでなく心にも働きます。このコンフォートゾーンの力が、人が「変わりたい」と思って行動を始めた時に、ブレーキになってしまうのです。

ではどうしたらいいかというと、現状に留まろうとするコンフォートゾーンを、未来に自分が設定した目標へとずらすことです。そうすることでコンフォートゾーンへの揺り戻しを防ぎ、今まで現状に戻ろうとしていたのが、自分が本当に行きたい目標にモチベーションが働くようになります。

私の場合、冒頭で述べた「10倍の成果を出す」ことの一つとして、自分が経営に携わっている医療機器会社の「売り上げを10倍にする」という目標を立てました。これまで売り上げが5000万円規模だった製品開発事業を、思いきって10倍の5億円にすると決めたのです。

そして、「10倍の目標」を達成した未来を想像しました。その臨場感が高まると、脳はそのゴール側の世界こそが本当のコンフォートゾーンだと判断します。そうすると、今の状態の居心地が悪くなり、自然と行動が変わり、リバウンドすることもなくなります。

10倍の成果を出しながらしっかり休むことは可能

そうやってコンフォートゾーンをシフトして、それまでの延長線上で開発を続けるのではなく、医療機器という枠を超えて売り上げが10倍になる可能性がある技術や製品に特化した開発をする方向性を見出すことができました。その結果、売り上げ10倍を達成することができたのです。

仕事が忙しくて家族との時間が取れないというのは、働き方の効率が悪いからかもしれない。効率を高めるには、仕事で「嫌い」なことや「苦手」なことを、それが「好き」な人や「得意」な人に任せる。仕事を一切しない日を定期的に持ち、心身を休めることで、休暇後に生産性が高い状態で仕事に注力できるようにする。そして、これまでのコンフォートゾーンをシフトして、自分が本当に行きたい目標にモチベーションが働くようにする。

こうすることで、「10倍の成果を出しながら自由な時間を増やす」ことが可能になるのです。仕事が忙しくて家族との時間が取れないとお悩みの方は、まずは今の自分の仕事のやり方を見直すことから始めることをお勧めします。

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