ダイエットを続けるためにはどうすればいいのか。認知科学コーチング行う名郷根修さんは「脳の仕組みを利用するといい。新しい習慣を3週間続ければ脳の仕組みが変わり、習慣を定着させることができる」という――。

※本稿は、名郷根修『習慣は3週間だけ続けなさい』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

「それ自体が楽しい!」内発的動機が脳を働かせる

脳には「ラス機能」と言って、いわば脳の「GPS機能」のようなものが存在します。車や地図アプリの「GPS機能」と同じで、この「ラス機能=GPS機能」を働かせると、あなたはその行動に突き動かされ、習慣化ができるようになります。

この脳の「GPS機能」を働かせるために重要なのが「内発的動機」です。「内発的動機」は、文字通り人の内側から湧き上がる動機です。内的で本質的な欲求によって引き起こされるものです。

個人の行動を後押しする内面から湧き上がるモチベーションと考えるとわかりやすいでしょう。この場合のモチベーションは、報酬や称賛などの外部からの動機とは関係ありません。自分自身から発生しています。

つまり、お金や名声、出世、評判などではなく、物事に対する興味や関心、そこから生まれるやりがいや達成感、楽しさなどが当てはまります。

会社員の草野球や釣りは「内発的動機」による行動

たとえば、「ぽっこりお腹をシックスパックになるまで鍛えてモテたい」という理由で筋トレを始めた人が、いつのまにか筋トレすること自体が楽しくなっていることがよくあります。取り組んでいる間に、モテるかどうかはどうでもよくなって、腹筋することが爽快で楽しい、体がみるみる変わって面白いから毎日やらないと気が済まない。

リビングルームでドーナツを食べる若い日本人女性
写真=iStock.com/ako76
※写真はイメージです

こうした変化は、まさに行動の動機づけが「外発的動機」から「内発的動機」にうまく切り替わった例といえるでしょう。あなたも内発的動機づけで行動しているはずです。おそらく多くの人にとっては趣味が内発的動機による行為でしょう。

たとえば会社員で休日に草野球をしている人は野球そのものが好きだからプレーしている人がほとんどでしょう。野球選手になってお金を稼ぎたい人は皆無なわけです。同じように休みの日に早起きして釣りに出かける人も、お金のためや仕事のためではなく「釣りが楽しいから」が理由のはずです。

人にどう思われるかは関係なく、損得でもない。自分が心から好きだから没頭する、行為そのものが楽しいから取り組む。これは内発的動機づけによる行動といえます。