仕事をしなければいけないのにスマホを触ってしまう、毎朝早起きしようと思うのに寝坊してしまう、そんな悪い習慣を変えられないのはなぜか。認知科学コーチングを実践する名郷根修さんは「習慣化は脳の問題だ。脳の“GPS機能”を活用することで新しい習慣をライフスタイルに組み込むことができる」という――。

※本稿は、名郷根修『習慣は3週間だけ続けなさい』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

習慣化ができないのは脳の問題

「今年こそ健康的な生活を送る」
「来月から朝型に生活リズムを切り替える」
「来週から英語をもっと勉強する」

年明けや月初め、週初めに新しい習慣を始めようと目標を立てる人も多いはずです。どうにかして今の生活を変えたい。夢や目標を達成したい。ただ、多くの人は継続できず、挫折してしまっているのではないでしょうか。

そのたびに、自分がなぜ習慣化に失敗するのか原因を考えたはずです。根気がない、努力できない、体力がない……。「自分は新しいことを始めるのに向いていないかも」といつのまにか諦める人もいるかもしれませんが、本書を手に取っていただいたあなたは諦めきれず、習慣化のスキルを何とか手に入れたいはずです。

安心してください。あなたが習慣化を身につけられなかったのは、根気がないわけでも努力ができないわけでも体力がないわけでもありません。

あなたが新しい習慣をライフスタイルに組み込めないのは、脳の問題なのです。脳の「GPS機能」をうまく活用できていなかったのです。

脳の「GPS機能」に目的地をしっかり入力できていない

脳の「GPS機能」と聞いてもピンとこないかもしれませんが、GPS機能はあなたも日頃から使っているでしょう。GPSはグローバル・ポジショニング・システムの略で、人工衛星(GPS衛星)の電波を受信して現在位置を特定する仕組みです。自動車のカーナビゲーションシステムやスマートフォン(スマホ)の地図アプリ、「ポケモン GO」などのゲームでも使われています。

机の上でスマートフォンを使うビジネスパーソンの手
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです

方向音痴でもスマホの地図アプリに目的地を入れれば、自分の位置情報と目的地への道順を示してくれるのはGPS機能のおかげです。GPS機能を十分に使うには目的地は明確な方が便利です。

たとえば、渋谷のレストランで友達と待ち合わせをしたものの場所がわからないときに、店名や住所を入力すれば目的地まで最短の道のりを示して導いてくれます。「渋谷駅」と入力するだけではレストランまでは案内してもらえません。

「そんなの当たり前では」と思われたかもしれませんが、多くの人は脳の「GPS」には目的地をしっかり入力していないのです。スマホのGPSも脳の「GPS機能」も同じです。

目標が明確でないと、到着地点の指示を受け取れず、どこに行けばいいかわかりません。習慣が続かないのです。