なぜ人に任せたほうが成功しやすいのか
そこで、販売データの集計が「好き」で「得意」なチームメンバーに任せると、自分はもっと生産性の高い仕事に時間を使うことができ、より大きな成果を出すことができました。そして、その仕事を任せられたチームメンバーも、私より速くデータの集計をし、より質の高い成果物を生み出すことができました。
ですので、まずは普段あなたがやっている仕事のうち、「やりたくないこと」や「不得意なこと」を減らし、自分が「好き」で「得意」なことを増やしてください。その過程で、あなたが「やりたくないこと」や「不得意なこと」を任せられるチームメンバーを探すことが次のステップになります。
「人に任せる」とは、自分がやりたくない仕事を人に押しつけることではありません。自分の「嫌い」なことや「苦手」なことを、それが「好き」な人や「得意」な人に任せることなのです。なぜ、他の人に任せることが成功につながるのか? それは、他の人には自分にはないスキルや知識、経験があり、それらを仕事に活かせるからです。
人に任せることによって、自分自身の時間とリソースを最適化できます。自分一人が使える時間は限られているので、苦手なことをそれが得意な人に任せ、自分が得意なことに集中すると、生産性が向上します。
「サボっている」と見られることはない
中には、自分の仕事を手放すと社内評価に影響するのではないかと心配する人もいるかもしれません。しかし、自分が「好き」で「得意」な仕事により注力し、今まで以上のパフォーマンスを発揮できれば他人からは「サボっている」と見られることはありません。それどころか、情熱を持って精力的に仕事をしていると映るでしょう。
日本人の気質として、周りからの評価を気にしてしまうのは仕方ないことですが、苦手な仕事を抱えていた時以上の成果をあげることで悪い評価を得づらくなるのです。
評価に関していえば、人に任せることは単なる業務の効率化だけでなく、人間関係の側面でも重要です。チームメンバーはビジョンの実現へ向けて協力し、お互いをサポートし合うことで絆を深めていきます。そして信頼と尊敬のある心理的安全性の高い関係が築けると、チーム全体のモチベーションや創造性が高まり、より大きな成果につながります。
その一方で、いくら「好き」で「得意」な仕事に専念していても、それを長く続けていけば疲れが出てきます。すると、クリエイティビティやエネルギーが徐々に下がってきて、受け身の仕事しかできないような状態になってしまいます。
そうなる前に、仕事を一切しない「自由の日」を定期的に持つようにしましょう。ここで心身を休めたり活性化できたりする時間を過ごせれば、休暇後にクリエイティビティと生産性が高い状態で仕事に注力できるようになるからです。