なぜ日本経済は「世界4位」に転落したのか

世界第3位の経済国だった日本だが、昨年、ドイツに抜かれて4位となった。内閣府が2月に発表した名目GDP(国内総生産)はドル換算で4兆2106億ドルとなり、ドイツの4兆4561億ドルを下回った。

原因にはもちろん円安や国内消費の伸び悩みなどが複合的に影響しているが、海外メディアが揃って指摘しているのが日本の労働生産性の低さだ。国民1人あたりの労働時間あたりGDPは、アメリカの3分の2を割り込む。

結果として、賃金が伸びない。OECDのデータによると、1991年から2022年までの賃金の伸び率は、アメリカで150%となった一方、日本はわずか3%に留まった。

海外各紙は、日本の細やかな仕事ぶりを称えつつも、課題を指摘する。「Karoshi(過労死)」が生じるほどの長時間労働の習慣や、いまだにFAXを使う紙ベースの業務、そしてオフィスに長時間いることが良しとされる職場文化などだ。

もちろん、伝統を重視する姿勢こそが日本の魅力である、との意見も海外紙の読者からは聞かれる。だが、細やかな仕事ぶりに定評のある日本といえど、国際的競争力を維持するためには、旧式の方法論を捨てる時が来ているのかもしれない。

名刺交換
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「テクノロジー先進国」の日本に潜む非効率

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は6月に公開した動画で、日本の先進性を取り上げている。動画は、「日本はしばしば、イノベーションの国として見られている」と断言しており、「新幹線から、ロボット工学の開拓まで」をカバーする、先進技術の国になっていると評価する。

動画は、「多くの人が、この国が現代的なテクノロジーの最前線であると考えているのも、何も不思議なことではない」と続ける。しかし、その一方で、古い技術や伝統的な慣習に依存していることが経済の足かせとなっている、とも指摘している。

日本の労働生産性は、アメリカの約3分の2、ドイツの約4分の3に過ぎない。OECDがまとめた労働時間あたりGDPは、アメリカが74ドル、ドイツが68.5ドルに対し、日本は48ドルに留まる。

「フロッピーを使うエリート官僚」を報じた米紙

生産性の足かせになっていると指摘されているのが、新技術への移行の遅さだ。

象徴的な出来事として、日本の官公庁においてフロッピーがつい近年まで使われていたことが、海外でも報じられた。河野太郎デジタル大臣が、およそ1900種におよぶ手続きでいまだフロッピーが使われていることを問題視し、フロッピーを撲滅する“戦争”を宣言したことはあまりにも有名だ。