売り上げが減るせいで宣伝費も減る悪循環

集客は維持することができていたものの、顧客単価の減少は経営に大きく響きました。売り上げが減ると広告宣伝費を減らさざるをえず、減った売り上げを補うだけの新規顧客を獲得できなくなる。悪い循環にハマってしまったのです。

当時、売り上げは自社で独自に開発したシステムで管理していました。自分がもともとシステムエンジニアだった経験を活かして、各店舗の売り上げがすぐにわかるようなシステムを自ら構築したのですが、日々の売り上げを確認することで精神的に追い込まれていきました。

夜、食事をしながらではとても数字を見られません。「こんなに売り上げが少ない」と落ち込んでしまい、食べる気がなくなってしまうんです。

社員などから文句をいわれることはなかったものの、厳しい経営状況の中で賞与もあまり出せませんでした。あのときは本当に心が痛かった。最低限の賞与も出せず、苦しい思いをさせてしまいました。

アクシージア設立直後の段氏。サロン事業が傾き、化粧品事業も軌道に乗らず苦闘の日々が続いた。

サロンもダメ、化粧品も儲からない…地獄のような日々

どう状況を打開するか。分社化の少し前から、自社で化粧品の製造と販売も行っていました。サロン向けのBtoBの化粧品で、自社のサロンで使うことはもちろん、他のサロンへの外販を始めました。ただ、国内の展示会に出展したものの、残念ながらほとんど売れません。確かに綺麗な商品で、しっかりと作っていますが、他社の商品と明確に差別化された特徴的な商品、というわけでもありません。結局、自社で使うばかりでした。

中国でも事業者向けに販売しました。メイド・イン・ジャパンの化粧品は根強い人気があったため、展示会を通して営業活動を行い、売り上げも知名度も少しずつ上がっていきました。しかし、収益に大きなインパクトを与えたかといえば、そうでもありません。化粧品の商品開発などで発生した損失を、ただでさえ減少しているエステの利益で埋め合わせる羽目になりました。ほとんど自転車操業の状態です。

順調だったはずのエステ事業が傾き、多角化で始めた化粧品も軌道に乗らない。地獄のような日々でした。