パナソニック創業者の松下幸之助は、神仏に熱心に祈っていたことが知られている。『愛される人はなぜ神社に行くのか?』(講談社)の著者である八木龍平さんは「経営の神様と呼ばれた祈りの達人は、自身が存在することへの感謝と、そして素直な心でいられるようにと誓っていた」という――。

※本稿は、八木龍平『愛される人はなぜ神社に行くのか?』(講談社)の一部を再編集したものです。

入口前で「何のために参拝するのか?」明確にする

ここからは、あまり知られていない、神社仏閣の活用法をお伝えします。

もちろん私自身、実践して効果があったものです。

松下電器歴史館の敷地内に建つ創業者・松下幸之助の銅像=2008年9月22日、大阪・門真市
写真=時事通信フォト
松下電器歴史館の敷地内に建つ創業者・松下幸之助の銅像=2008年9月22日、大阪・門真市

フツーに参拝していただければ十分だとは思いますが、せっかくなので興味深かった発見をお伝えできればと思います。

最初にお伝えするのは、参道を歩くのに1分以上かかりそうな社寺限定の方法です。

まず門の手前がポイントです。神社だと鳥居の前ですね。

「これから参拝するぞ!」と気持ちを切り替えて、門や鳥居をながめます。

ここで私のおすすめは「相談したい内容を決めること」です。

「一体私は何のために、目の前の社寺を参拝するのだろう?」と、ちょっと考えていただき、心の中で相談内容を決めて宣言して欲しいのです。

相談の具体例をあげると、

「○○さんとお付き合いしたいです」
「○○さんとお別れしようか迷っています」
「私に合う人と出会いたいです」
「もう会社を辞めようかと思っています」
「商品の売れ行きに自信がありません。もっと売れるようにしたいです」など。

基本は、「こうしたい」「こうなりたい」という自分の意思を示すことです。もし迷っているなら、迷っていることを明確にしてください。

話が長いと、意思が明確になりませんので、ひとこと、ふたことにまとめてください。文章でいえば1行以内ですね。

話が長くなる原因の大半は「言い訳」です。人間相手に言い訳する意味はあるかもしれませんが、神仏に言い訳する意味は全くありません。

「悪いやつ・ひどい人と思われそう!」なんて気にせずに、神仏に伝えたいことは、本音をシンプルに表現するのです。

そして心を決めて軽くお辞儀をし、門・鳥居をおくぐりください。

神仏は参道で隠された本心を「暴露」する

さあ、お心は決まりましたか?

相談内容を心の中で宣言してから門・鳥居をくぐると、参道で相談内容の回答が返ってきます。心の中に浮かび上がるのです。

「神仏が話しかけてくれるの?」

「私はそんなの聞いたことないけど!」と思われそうですね。

「あー、普通に話しかけてくれるよね」という方もいらっしゃいそうです。

たとえば、自分の心の中でこんな思いが浮かび上がります。

「○○さんとお付き合いしたいです」
(回答)→「1回ヤレればいい」→(本気で好きじゃないと気づく)

「○○さんとお別れしようか迷っています」
(回答)→「別れよう」→(別れを決める)

「私に合う人と出会いたいです」
(回答)→(ある人の顔が浮かぶ)→(あ、あの人がいたかと納得)

「もう会社を辞めようかと思っています」
(回答)→「一人前のエンジニアになりたい」→(願いの本質に気づく)

「商品の売れ行きに自信がありません。もっと売れる方法を知りたいです」
(回答)→「一流の良い商品をつくろう」→(目先の売り方に走るのをやめる)

「(シンプルにまとまらずウダウダと相談を伝えた場合)」
(回答)→「中途半端」→(あー、これじゃダメだなと気づく)

このように、参道を歩いていると浮かび上がる相談内容の回答とは「自分から自分への回答」です。

潜在意識に隠されている自分の本音が、ふと、わいてくるのです。