メディアは「巨大な権力者」

まして、今や社会への影響力という点において、現代のマスメディアは事実上、司法、立法、行政に比肩・干渉する巨大な権力者と言える。

「何が問題か」「誰が弱者か」を恣意的に誘導するアジェンダセッティング、チェリーピッキングやほのめかしなどの印象操作、あるいは言いがかりに等しい報道や事実の担保なき独善で世論に影響を与え、人々を煽動し、結果的に政策や政権支持率、選挙結果を左右したり、場合によっては選挙で選ばれた政治家に「スキャンダル」をでっち上げて失脚させることもできる。

現に、メディアが過去の政権交代を煽ったことを自供したこともある。

東電原発事故やHPVワクチンでも実証されたように、「情報災害」によって社会の選択を誤らせ、人々の暮らしや生命・財産を破壊することもある。しかも、結果に何ら責任を取ることはない。

このような巨大な権力を相手に個人だけで立ち向かっても、勝敗など最初から見えている。

写真=iStock.com/greenleaf123
メディアは「巨大な権力者」(※写真はイメージ)

「権力の監視役」どころか「第四の権力」

これほど巨大な影響を社会にもたらすマスメディアの関係者は、しばしば自らを「権力の監視役」のように自認する。まさに「第四の権力」と呼ぶに値する振舞いだ。

仮にモンテスキューが現代社会を生きていれば、「三権分立」ではなく「四権分立」と訴えたことだろう。

しかも、「第四の権力」は他の三権と異なり、専門的な知識と責任を担保する資格が不要かつ民主主義的な選挙で選ばれたわけでもない。任期はなく弾劾だんがいもできない。他の権力と違い、相応の責任を求められる制度すらない。情報開示の義務もない。