陰謀論やフェイクニュースを見分けるには、どうすればいいのか。国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんは「世の中は答えのないことばかり。それなのに、日本ではクイズ番組のように『正解』を知りたがる人が多い。もっと考えることを心がけたほうがいい」という――。(後編/全2回)。
撮影=プレジデントオンライン編集部
インタビューに応じるモーリー・ロバートソンさん

「優等生」ほど陰謀論にハマりやすい

前編から続く

――前回のインタビューでは、モーリー・ロバートソンさんの2つのツイートへの反応から、紋切り型の発想から逃れられない日本のスタイル、SNSで拡散するポピュリズムの特殊性をうかがいました。

今のポピュリズムは1920年代のアメリカの黄禍論のような排外主義のテンプレートを持ちながら、かなり流動的で「感染力」も強い。薄く広く広がっていて「雲海」のような状態なんだけれど、自分の居心地が悪くなったものに対して向かっていってしまう。アメリカのQアノンのような陰謀論へのステッピング・ストーン(踏み石)なんですよ。

――そういう「雲海」に自分がならないためにどうすればいいのでしょうか。

ある程度の知的な体力を持つということだと思います。それがあれば、自分が信じていたものを手放しても恐怖心は起きないんですよ。

今まで親や学校の先生の言うことや、報道などを議論せずに丸呑みしていた人ほど、ひとつ疑い始めると免疫がないから「全部、嘘だったんだ」と陰謀論にいきやすくなります。

でも「全部、嘘だった」というだけでなく、そこに矛盾を指摘して、より良い解決方法を提案できなきゃダメなんですよ。そこに「知的な体力=考える力」が必要になってくる。教育の在り方でもあるんですけれどね。

ハーバードの授業ではまったく歯が立たなかった

――「教育の在り方」ですか。

そうですね、僕が中学、高校を日本とアメリカで1、2年ずつ過ごした経験をお話ししますね。

日本の中学からアメリカに転校したとき、向こうの学校で、ケプラーやガリレオの歴史みたいなことをさんざんやった時間があったんですね。我々はその人たちがつくった理論の後に生きているけども、その前になんでそういうことを思いついたのか、その当時の常識と彼らはどう戦ったかみたいのを授業でやっていた。

僕は正直、「なんでこんなこと延々とやっているんだ。日本の学校みたいに早く練習問題をやれよ。アメリカ人はバカなのか」って思ったんです。

実際に入試問題のレベルと比べると、東大の2次試験みたいな問題はひとつもない、アメリカの入試問題はレベルが低いんです。当時、東大に合格した人ならSAT(Scholastic Aptitude Test、大学適性試験)は満点を取れたんじゃないかな。それで僕は「なんだ、ハーバードもちょろいじゃん」と思っていたら、講義が始まって1学期で燃え尽きました。

――どういうことですか。

議論ずくめの軍事教練、ブートキャンプのような授業だったんです。僕からすればモタモタしているように見えた彼らの中学・高校時代の授業は、議論の作法を学ぶためものだった。僕は議論をする能力が全くなかったので、歯がたちませんでした。