2月9日、大阪府の吉村洋文知事は会見で、将来的に大阪公立大全学で秋入学、英語公用化とする方針を示した。大学ジャーナリストの石渡嶺司さんは「実現するのは不可能だろう。本当に大学のグローバル化を考えるのなら、既存学部とは別に新学部をつくるしか方法はない」という――。
大阪府の吉村洋文知事
写真=時事通信フォト
2025年大阪・関西万博の開幕500日前イベントで発言する大阪府の吉村洋文知事=2023年11月30日午後、大阪市

大阪公立大学が秋入学と英語公用語化を目指すワケ

2024年2月9日、大阪府と市による副首都推進本部会議は、大阪公立大学で将来的に全学での秋入学の方針を示しました(大学院と工学部などで先行導入)。併せて、吉村洋文・大阪府知事は大学の公用語を英語とする方針を記者会見で打ち出しました。

なぜこんなことを打ち出したのでしょうか。

大阪公立大学は2022年、大阪府立大学と大阪市立大学が統合して誕生した公立大学です。両校はもともと規模が大きく、この統合により東京都立大学を抜いて、日本で一番学生数の多い公立大学となりました。

この統合には設置者の大阪府・大阪市の意向が強く働いており、大阪都構想を先取りする形となりました。当初の英語表記は「University of Osaka」。しかし、大阪大学の英語表記が「Osaka University」であり、紛らわしいとの指摘がありました。その後、大阪大学との協議を経て英語表記は「Osaka Metropolitan University」に落ち着いています。

この英語名称の騒動からも、グローバル化を強く意識しており、今回の施策もその一環と見られています。

果たしてこの施策は、大学のグローバル化につながるのでしょうか。

日本でこうした「秋入学・英語公用化」が現実的に実現可能かどうかも含め検証してみたいと思います。