1年もしないうちに「告訴取り下げ」
松本人志が週刊文春に対する告訴を取り下げたことで、早期のテレビ界復帰は絶望的になった。
私はそう考えている。なぜなら、松本は文春の一連の記事が「事実無根、名誉毀損」だと訴えていたのだから。
5億5000万円という損害賠償額も話題になった。松本氏自身も、芸能活動を休止して裁判に注力すると宣言した。
それから1年もしないうちに自分から全面降伏、白旗を掲げたのである。彼の辞書には“恥”という言葉は載っていないようだ。
以前、ここでも書いたように、名誉棄損裁判は訴えられたメディア側に厳しいものになる。なぜなら、メディアが報じた記事が真実であることを、メディア側が立証しなければならないからだ。
今回の場合、文春側は、松本から性加害を受けたと告白したA子さんが法廷で証言すると決意してくれたことで、松本側と五分五分とはいえないが、渡り合える可能性はあった。だが、名誉毀損は書かれた内容が事実でも成立するから、文春側は楽観できなかったはずである。
松本の代理人である田代政弘弁護士が、A子さんさえ出廷しなければ勝てると読んだのは当然であろう。
だが、そのやり方が、A子さんの尾行、つきまといなど、あまりにも露骨で稚拙だったため、文春側に知られることになってしまった。
妨害行為はA子さんの相談相手にも
それだけではない。田代弁護士はA子さんから相談を受けていたX氏にも接触して、何とかA子さんが証人として出廷しないよう説得に来たという。
X氏が拒絶すると、こう迫ったそうだ。
「A子さんと不倫しているでしょう。そのことを雑誌が記事にするらしいですよ。私はその記事を止められますけど、どうしましょうか」
X氏は不倫などしていない、やるならどうぞと拒絶した。すると今度は、女性誌の元編集長なる人間をX氏のところへ行かせ、
「出廷せずに和解すれば、A子さんには、五千万円でも一億でも渡せます」
と、いわせたというのである。
これを報じた文春(7月18日号)で、ジャーナリストの伊藤詩織氏の性加害問題で代理人を務めた佃克彦弁護士に見解を求めると、こういったそうだ。