【原因A-1~3】解決困難な問題を自分でつくる人
人が、ある事実から「有害性(脅威)」を強く感じるのは、どのような思考をする場合だろうか。一例として、「仲のいい同僚が1週間ほど自分とまともに口をきいてくれない」という状況を設定して考えてみよう。
まず必要なのは「仲のいい同僚である以上、多くの会話をすべきだ」という、一種の「信念」を持っていることである。その信念(~すべし)が強固であればあるほど、耐えがたい、有害な状況として感知されるはずである。
次に必要なのは「口をきかない=自分に対して怒っている」などという、性急な結論づけである。同僚は単に忙しいだけかもしれないのに、事実を勝手に解釈し、「これは間違いなく何か怒っている」と結論づけてしまう。この先走った思考もまた、有害性(脅威)を感じさせる原因となる。
そしてとどめは「もう2度と口をきいてくれないのではないか」などと不安を自己増殖させてしまうことである。この傾向が強ければ強いほど、有害性(脅威)を感じる度合が高いことは、あまりにも明らかである。
こうした思考が強い人ほど、現実から有害性(脅威)を感じる度合が高い。性格的にいえば、まじめで厳格な人(「すべき思考」をしやすい)、せっかちな人・決めつけをする人(「性急な結論づけ」をしやすい)、心配性の人(不安の自己増殖をさせやすい)などが、悩みを抱えやすい代表的なタイプということになる。
実体がなく、解決が困難な問題を自分でつくってしまうがゆえに、悩みに陥りやすいのである。