自分を変えたいなら、まずは自分のことを客観的に知ることから始めよう。診断テストで自分の弱点を明確にしてそれを一つずつつぶしていけばよいのだ。

診断!無自覚の「危ない症例」7つのパターン

1964年、サンフランシスコで心理学的な大実験が行われた。

当時、ハーバード大学で心理学の研究をしていたロバート・ローゼンタールはある仮説を携えて、サンフランシスコにある小学校を訪問した。校長や主だった教師を前にローゼンタールは言った。「ハーバード大学が生徒の潜在能力を診断するテストの開発に成功しました。ぜひ、この学校で実験させてください」

学校側はこの申し出に応じ、全校生徒を対象に“潜在能力を診断するテスト”が実施されることになった。

テストの結果、高い潜在能力を持っていると診断された生徒のリストが、教師に手渡された。ローゼンタールは、「このリストの子供たちは、1年後には大きく成績を伸ばすでしょう」と予言をしたが、教師の中には意外な顔をする者も少なくなかった。リストには落ちこぼれの生徒の名前も含まれていたからだ。

1年後に総合学力テストが実施され、ローゼンタールの予言は的中した。リストの子供たちは、例外なく成績を伸ばしていたのだ。小学校からこの報告を受けたローゼンタールは、教師たちに向かって深々と頭を下げ、謝罪の言葉を述べた。

「実は潜在能力を診断するテストとは真っ赤な嘘で、リストはサイコロを振って適当にこしらえたものでした……」

つまり、リストの子供たちは決して潜在能力が高かったわけではなく、自分を見る教師の目が変わった結果として、成績を向上させたのであった。

ローゼンタールが発見したこの心理学的な作用は、ギリシャ神話に登場するピグマリオン王の逸話にちなんでピグマリオン効果と呼ばれている。人間は、自身の可能性を信じるようになると劇的に変化を遂げるという事実を、ローゼンタールは大掛かりな嘘で実証したのである。

以下の設問は、現在のあなたの性格を客観的に診断するためのものだ。劇的変化のためには、自分の可能性を信じることと同時に自分自身の姿を正確に知り、自分で自分に貼っている誤ったレッテルを引き剥がす必要がある。

「悲観症」の人は、よく言えば堅実な人である。常に将来を暗いものとして捉えているため、備えをしっかり固めようとする。彼らが資格を取ったり、懸命に貯蓄をしたりするのはそのせいである。これはこれで悪いことではないが、このタイプの人は大きく成功することがない。

悲観症の人が、多少なりとも楽観性を獲得して精神を柔軟にするためには、自分の工夫やアイデアによって何かを成功させる経験を持つといい。そうやって人生は面白いものだと思えるようになれば、10回連続で失敗したときに11回目も必ず失敗だとは考えなくなるものである。