変化を嫌う人には、この事実を知らない人が多い。人生には危険がたくさんあると思い込んでいるから、冒険をせず、前例を踏襲し、権威にすがり、石橋を叩いても渡ろうとしない。こういう人には、一度でいいから文明から離れたサバイバル体験をお勧めしたいものである。
最後に、性格を変えるための具体的な方法をお話ししておきたい。
よく、人間の性格は変えられるか否かという議論があるが、私は変えられる部分と変えられない部分があると考えている。人間の心はタマネギのように重層的にできており、中心にある「気質・体質」の部分はそう簡単には変わらない。中層には「感情」と「態度・習慣」という2層があり、中心に近い感情は変えにくいが、外側に近い態度・習慣は努力によって変えられる。そして3層目、最も外側にあるのが「行動・考え方」の層である。この層は、人との出会いや読書、新しい体験などによって比較的簡単に変わる部分である。つまり、自分を変えたいと思ったら、最も変えやすい外側の層から変えるのが得策だ。外層が変われば、たとえ本質は変わらなくても、トータルで見たときの性格は変わるのである。
診断テストで自分の弱点がわかったら、自分を変えられる可能性を信じ、こうありたいという人格像を描いてほしい。それを文章化して目のつくところに貼っておくとよい。常に潜在意識に働きかけるようにすれば、ピグマリオンの奇跡はどんな人にでも起こるのである。
(構成=山田清機 撮影=宇佐見利明)