「前例踏襲病」は、大企業に勤めるサラリーマンや官僚によく見られる。特徴は、伝統や権威に盲従し、それを盾にして下位の者に接する点にある。もともとは権威主義的ではない人も、大企業や官庁に勤めるうちに権威主義的傾向を深めて、仕事に新しい発想や創造性を発揮できなくなるケースが多い。
彼らは一見、組織の体質による被害者のように見えるが、実は違う。権威に従っていれば失敗を叱責されることがないから、むしろ生き方としては楽なのだ。権威主義的傾向の強い人は、心の中で周到に損得勘定をしていて、うまく出世していく人も多い。
権威主義的性格の対極に位置するのは創造的な性格だが、どちらを選択すればいい人生を送れるかは一概には言えない。ただし、権威主義的な傾向を捨てない限り、心の躍るような冒険や感動を体験できないことだけは確かである。
「責任転嫁グセ」は多かれ少なかれ誰にでもあるが、これが半ば習慣化している人のことを心理学では他罰型と呼ぶ。他罰型の人は、フラストレーションの大きい人である。では、フラストレーションはなぜ大きくなるかといえば、目標を高く設定しすぎているケースが多い。80点を目標にしていれば、80点を取った自分に満足できるが、100点を目標に置くと、80点を取った自分を許せずにフラストレーションが増大する。
高い目標設定は人生を向上させるのに役立つが、到達不能な目標を設定してしまうと、達成できない自分を責める気持ちばかりが強くなり、精神の均衡を保つために責任転嫁を始めるというわけだ。