業者の運営母体を必ず確認したほうがいい

そして、申入れをしてきた退職代行業者の運営母体が「民間業者」「労働組合」「弁護士事務所」のいずれなのかを確認します。

このうち「民間業者」が業務引継ぎや有休消化などの交渉をしてくるのは違法な非弁行為にあたりますので、「本人からの申し出でなければ応じられない」と明確に伝えた上で、会社の顧問弁護士や社労士などと相談し、本人へ直接連絡するなどの対応を取ることをお勧めします。

退職は従業員本人の意思によるもので、退職代行業者にも違法性がないと判明すれば、あとは通常の退職手続と同様に進めていくことになります。

「原因は自社にある」という反省材料に

新田龍『「部下の気持ちがわからない」と思ったら読む本』(ハーパーコリンズ・ジャパン)

本来退職手続など、退職届を出すだけで済んでしまうことです。にもかかわらず、わざわざ数万円をかけてサービスを利用する人が確実に存在するという事実は、「そうでもしないと言い出せない」「今すぐにでも抜け出したい」といった強い思いと、同じ数だけの劣悪な労働環境が存在するということでもあります。

退職代行サービスを使われた側としては、退職希望者を恨めしく思ったり、逆上してしまいたくなったりすることもあるでしょう。

しかし、この機に「そこまでして辞めたいと思わせる原因が自社にあったのでは……」と反省材料にできれば前向きですし、仕事を放り出して音信不通になられるより、辛うじて代行会社という細い糸で繫がり、パソコンのパスワードだけでも聞き出せたことをラッキーだったと考えるべきではないでしょうか。

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