嫌がらせや意地悪をされたら、どう対応すればいいか。心理セラピストの大鶴和江さんは「ハラスメントを行う人々は絶対に反撃してこない立場の弱い人を、無意識に選んでやっている。明確なノーが言えず、穏便に済ませようとすると、それがますます相手の加害行為を引き出す結果になってしまうケースも多い。自分自身が『相手の下』に潜り込まないように注意するべきだ」という――。

※本稿は、大鶴和江『「ずるい攻撃」をする人たち』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

笑顔の絵が描かれた紙を自分の顔の前に持つ人
写真=iStock.com/ra2studio
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なぜ一番仲良しだった女性が悪口を吹聴するのか

親しくなればなるほどに、関係性がおかしくなっていく、そんな経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

どこにでもいる仲良しの仲間やグループの中でやがて不穏な空気になり、お互いが疑心暗鬼になってその仲良しのグループが散り散りになってしまう、そのようなケースの背景には悪意を持ってその仲良しグループを壊そうとする人物の存在がある可能性があります。

例えば、次のようなケースです。

佳代さん(仮名)は大学生です。

大学のサークルに入って、そこで知り合った男女のグループで仲良く活動していました。

ところが、ある日のこと。

その中でも特に仲良しだった女性が急にそっけなくなって、メールを送っても返事がこなくなり、それどころか会っても無視されるようになってしまいました。

佳代さんはまったく身に覚えがないので、とても気になりましたが、周りの人もなんとなく自分を避けているように見えます。

そのうち好意を持っていてお互いに仲良くしていた男性からも、無視されるようになり、とうとう佳代さんはいづらくなってサークルをやめることになります。

ところがその後、信じられない話が耳に入りました。

なんと一番仲良しだった女性が佳代さんの悪口を吹聴していたというのです。

仲良くしていた男子学生に「あいつはヤリマンだから避けたほうがいいよ、それにみんなのことを利用しているし、あなたのこと嫌いだけど仕方なく合わせている」と言っていた、と。そしてなんと、その好意を持っていた男子学生とその悪口を吹聴していた女性が付き合い始めたとのこと。

ショックと怒りで佳代さんは大学を去っていきました。

このような出来事はよく聞きますし、周りでも同じような経験をした人も多いのではないでしょうか。