絶対に反撃してこない立場の弱い人を、無意識に選ぶ

なぜなら人は不満や本音を抑え込めば込むほど、その欲求不満やストレスは肥大化してしまうからです。そうやって自分を誤魔化して抑圧すればするほど、溜まったストレスはちょっとした刺激で暴発することになってしまいます。

そして、このようなハラスメントを行う人々というのは、誰にでも迷惑行為や嫌がらせをするわけではありません。

その「ずるい攻撃」の矛先は、必ず自分より弱いものに向かいます。

なぜなら、絶対に反撃してこない立場の弱い人を、無意識に選んでやっているからです。

自分の妻や夫、子ども、親、パートナー、親しい友人、同僚や部下、タクシーの運転手、コンビニの店員、スーパーのレジ係、電話オペレーターなど、立場上弱い人に吐き出す傾向にあります。

その被害を受けた人は、相手に逆らって反論したり、対立したり、諭したりすればするほど、相手は激昂し、よりひどい暴言や威嚇行為などになる場合もあります。

そして、被害にあった人が心を病んでしまうようになります。

部下のネクタイをつかみ、怒る上司
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「心理的なゴミ箱役」を引き受けてはいけない

結局、海外などとは違い日本では「平和至上主義」であり、穏やかに笑顔で返すケースが多いです。

例えば、相手から皮肉やわかりにくい嫌味を言われているのに笑顔を作ったり、マウントを取られているのに何も対処しなかったりといった具合です。

ほかにも、毎日のように特定の店員がいるときだけコンビニにやってきて説教をする老人、企業の電話オペレータに言いがかりをつけて恫喝や脅迫を繰り返すカスタマーハラスメントなどに対しても、明確なノーが言えず、とにかく穏便に済ませようとします。

しかし、それがますます相手の加害行為を引き出す結果になってしまうケースも多いようです。

これらの人々は自分個人の抱えている問題やストレスの捌口はけぐちとして、無抵抗な相手を選んで吐き出しているものですから、受け取る必要はありません。

相手の「心の問題」を受け入れたり、受け止める側になったりしてはいけないのです。

この他人の愚痴や悪口、相手のストレス解消の受け皿になってしまうことを「心理的なゴミ箱役」と私は名付けています。

言いたいことが言えない人や対人恐怖を抱えている人ほど、この「心理的なゴミ箱役」を引き受けがちです。

一度引き受けてしまうと、相手に対して「心理的なゴミ箱役」を受け入れたというメッセージになってしまい、その後も相手の愚痴の吐き捨て場として利用されてしまいます。

相手のストレスや怒りは相手のものですから、丁寧にお返しするのがベストですが、そのやり方としては、様々な方法があります。