他人に対して優位に立とうとする人にはどう対処するといいか。心理セラピストの大鶴和江さんは「マウントを取る人や自己愛性の強い傲慢不遜な人物に対しては、闘うよりもスルーすることが大事だ。私も自慢話をしてくる女性経営者に対して頷いたり、相槌を打つことを控え、目線をあちこちに動かしたり遠くを見たり、何かが気になるそぶりをしたり、反応を薄くすると、彼女は私に近寄ることはなくなっていた。このスキルは『ラポール切り』と呼ばれるテクニックで、縁を切りたい人には効果大である」という――。
※本稿は、大鶴和江『「ずるい攻撃」をする人たち』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
群れの中で力を誇示する「マウンティング」というずるい攻撃
近年「マウンティング」という言葉がよく使われるようになりました。
「マウンティング」とは、元々は動物が縄張り争いなどで、マウント(示威行為)をして群れの中で強いポジションを取り、群れの中のリーダーとしての力や立場を誇示することを指します。
プロレスや総合格闘技でも「マウント(ポジション)を取る」という言葉を使います。相手を倒して上にまたがり自由を奪うポジションに立つことを指します。
そのどちらも対立した相手よりも「優位に立つ」「上位に立つ」という意味です。
それらが転じて一般のコミュニケーションでも「マウント」という言葉が当たり前になりました。
コミュニケーション上で他人に対して、優位に立とう、上位に立とうとして、人間関係で揉め事になったり、SNSで炎上バトルが起こったり、皆さんも一度や二度は見かけたたこともあるのではないでしょうか。
このマウントも遠回しの攻撃ですから、広い意味での受動攻撃だといえます。
この他人との関係性の中で優位性を保とうとすることは、自分を守る意味でもあり、一概に悪いことと断罪するようなものではありませんが、やっている本人よりも周りが迷惑を被るケースが圧倒的に多く、非常に嫌われます。