株価が割安か割高かを見極める

業績がよい企業であっても、すでに株価が上がってしまっていると、投資後に株価が下がってしまうかもしれません。そこで次にバリュエーションをチェックします。バリュエーションとは、企業の価値と株価を比較して、株価が割安か割高かを判断する指標です。具体的に言えば、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、配当利回りなどがあります。

少し難しくなってきましたが、『会社四季報』にはこれらの数値が掲載されていますから、まずはザックリとチェックが可能です。なお、現密にはバリュエーションは必ず直近株価に基づく数値で見る必要がありますが、証券会社に口座を開設していれば、各証券会社のサイト上で直近株価に基づくデータを確認することができますし、あるいは無料サイトのYahoo!ファイナンス会社四季報オンライン無償版でも確認することが可能です。

業績が評価されて買われている場合には株価がすでに高くなってしまっているケースもあります。反対にとてもいい業績の会社でも、誰も気がついてなく評価されてない場合には、株価が割安になっています。バリュエーションの数値が低ければ、バーゲンセールのような状態にあるのです。

3社のバリュエーションをチェックする

PERは会社が稼ぐ利益に対して株価が割安か割高かを判断するもので、株価÷1株当たり当期純利益(EPS)で計算します。PERが高いほど株価が割高と判断されます。実際に見てみると、当原稿執筆時の2023年11月10日時点株価では、三洋貿易の予想PERは23年9月期で8.13倍、24年9月期で7.63倍になっています。この時点での東証プライム全銘柄の平均PERは14.99倍ですから、半分程度ということになり、だいぶ割安だと分かります。

次にPBRは企業の資産価値に対して株価が割安か割高かを判断するもので「株価÷1株当たり純資産(BPS)」で計算します。1倍が基準でそれより低いと割安とみることができます。三洋貿易は0.84倍と1倍割れで、他の2社はさらに基準を大きく下回りだいぶ割安であることがわかります。

3つ目は配当利回りです。予想配当利回りは、これから受け取れる予定の配当が株価に対して何%かを示しています。たとえば、1年間に受け取れる予定の配当が15円で株価が500円であれば予想配当利回りは15円÷500円=3%となります。配当金が同じであっても株価が高くなると、予想配当利回りは下がってしまいますので、バリュエーションの一種といえます。当原稿執筆時点の東証プライム全銘柄の平均は2.26%です。3社の予想配当利回りを見ると、エッチ・ケー・エスはほぼ平均並みですが、他の2社はだいぶ上回っていることがわかります。

総括すると、バリュエーション上では、3社共に割安水準にありますが、特にPERと配当利回りの観点からは三洋貿易とRYODENが優位であり、他方財務面から見たPBRの観点からはエッチ・ケー・エスが優位であると言えるでしょう。

出典=東洋経済新報社『会社四季報』2023年4集秋号のデータを基に23年11月10日時点の株価(終値)で計算