家電メーカーの二の舞は避けなければならない
もし、これまでの価値観から脱却できない、あるいはそれが遅れると、わが国の自動車産業は、かつての家電メーカーのような厳しい状況に陥ることも考えられる。
1990年代以降、世界経済のグローバル化を背景に国際分業が進み、中国、韓国、台湾企業の製造技術は向上した。米アップルなどはソフトウェアの設計開発に集中し、ハードウェアの生産を台湾の鴻海(ホンハイ)精密企業などに外注し、事業運営の効率性は急速に高まった。そうした変化にわが国の電機メーカーは対応できず、競争力を失った。
現在、自動車はわが国の経済を支える主力産業だ。BYDなどの急成長は、わが国の自動車産業にとって脅威だ。EVシフトへの遅れが深刻化すれば、自動車産業全体の競争が失われる。経済の実力は低下し、自力での事業継続が難しくなるケースも出るかもしれない。それくらいの危機感をもってわが国の自動車関連企業はEVシフトに対応しなければならない。