鈴木幸一氏が「断り状」を添削!
×Before
(1)気を使って下手に相手をもち上げてしまうと、「一定の評価を得ることには成功した」と勘違いしてしまう場合があるので気をつけたほうがよい。
(2)理由を伝えてしまうことで、相手は「まだ交渉の余地あり」のメッセージとして受け止めてしまう可能性がある。本当に余地があるのでなければ、もっとあいまいな理由で断ってもかまわない。
(3)既存の関係に感情的に流されてしまうと、断るべき場面で断ることが難しくなってくる。良好な関係は保つべきだが、断る場面でことさらそれを強調する必要はない。
(4)相手に期待をもたせてしまうと、きっぱり断れなくなる。余計な気をもたせてしまう表現は極力避ける。
○After
(1)事務的な対応も相手のため
事務的な返答は冷たい印象を与えてしまうおそれもあるが、双方にとって時間の無駄が減るのでかえって相手のためになるとも考えられる。
(2)結論はズバリ断言
相手が条件闘争にもち込めないように、最終的な結論であることを強く印象付ける言い回しを心がけるべきである。きっぱり断られたからといって腹を立てる人はそういないはずだ。
(3)権限がある人をときにはダシに
自分の立場での限界を提示することで、相手もこれ以上は事態の進展が見込めないのだと、納得せざるをえない。
(4)言質は取らせない
断る本当の理由を伝えてしまうと相手が対応を変えてきて交渉が引き延ばされてしまうおそれがある。程度の問題はあれど、ときには方便が必要な場面もあるだろう。
(5)妙な期待は抱かせない
今回の件ではこれ以上取り合わない姿勢を打ち出すことで、あとを引かせない。
1946年、神奈川県生まれ。71年早稲田大学文学部卒業。日本能率協会勤務などを経て、92年にインターネットイニシアティブ企画(当時)設立に参画。94年に代表取締役就任。