仕事の視野を広げるには読書が一番だ。書籍のハイライトを3000字で紹介するサービス「SERENDIP」から、プレジデントオンライン向けの特選記事を紹介しよう。今回取り上げるのは山岡彰彦著『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』(講談社+α新書)――。
グラスに入ったコーラ
写真=iStock.com/pavelis
※写真はイメージです

イントロダクション

多種多様な商品やサービスが溢れ、飽和状態にあるような現代において企業が競争力を維持するには、あらゆる部門や職種で新たな視点からの業務の工夫・改善が必要なのではないだろうか。開発・生産部門のみならず、営業職もまた然りだ。

現場を知る営業だからこそ、新たな市場を切り拓くイノベーティブな提案ができるはずだ。

本書では、四国コカ・コーラボトリング社高知営業所のルート営業からスタートした著者が、やがてトップクラスの業績を上げるようになり、日本コカ・コーラ社主催の全国セールスフォースコンテストで第1位を獲得、全国のボトラー社の中でも前例のない日本コカ・コーラ社への出向を果たすといったキャリアの中でのさまざまなエピソードを綴っている。

ルート営業を通じて、現場での経験や顧客、上司や同僚から貴重な学びを得た著者は、ある日、フードサービス部門への異動を言い渡され、「新規開拓」の仕事を任されることになる。

著者は現在、アクセルレイト21代表取締役社長。日本コカ・コーラ社への出向の後、同社の教育機関で全国のセールスパーソンの教育に携わり、グループ企業の経営企画室室長を経て、現在は複数の大学で講義、多数の日系・外資系企業で研修を行っている。

1.高知営業所
2.フードサービス部門
3.日本コカ・コーラ
4.人の力・モノの力
エピローグ あなたの伸び代

1カ月もすると営業リストは余白だらけ

私たち(*四国コカ・コーラボトリング社)が扱っている製品には、工場で最終製品となる飲料と、店頭の機械で原液を希釈して飲める状態にして提供する飲料の2種類があります。前者はスーパーやコンビニ、自販機で目にする瓶や缶、ペットボトル容器で販売されているもので、後者はフードサービス部門が担う、ファミリーレストランのドリンクバーやファストフード店で目にするものです。

フードサービス部門の製品は、それぞれの売り場でディスペンサーという機械によって商品になるので、お客様が手に取る直前までかたちになっていません。よくファストフード店やコーヒーショップのカウンターの反対側で店員さんが容器に飲料を注いでいるあの機械で商品にしているのです。

フードサービス部門の主な市場はレストランやファストフード店ですが、そのほとんどはこれまで営業活動でしかるべきお店にはすでに機材が設置されています。つまり、この市場で新規開拓を進めるのはそう簡単ではないということです。最初のうちはなんとか見つかった訪問先も、1カ月もするとリストは余白だらけです。行くところがありません。