仕事で結果を出す女性とはどんな人か。20年以上にわたり女性営業を育成してきた社員教育コンサルタントの朝倉千恵子さんは「女性らしさを活かすのは良いことだが、一転『女を売る』営業スタイルになってしまうと、長期的に見るとデメリットが大きい」という――。
階段を上がる女性の足元
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結果を出せば「女を売った」と言われる現実

「女性はいいよね、女を売れば契約が取れるんだから」
「あの子はかわいいから契約をもらえてるだけだ」

はじめて営業の世界に身を置いてから27年。女性たちに営業を教えるようになって20年以上経ちますが、今もなお“女性”営業がこのような偏見の目を向けられることは決して珍しいことではありません。

多くの女性営業を悩ませるこの問題の根深いところは、こうした偏見が決してライバルである男性営業からだけ向けられるものではないことです。女性同士でも嫉妬の対象になることもありますし、当の本人でさえ「私の営業のあり方はこれでいいのだろうか?」と迷っていることも多々あります。

ジェンダー平等が求められる現代では、性別による違いに言及すること自体がタブー視される傾向もあります。しかし、本当の意味で「女性が活躍する時代」をつくるために、私はあえて一歩踏み込み、女性営業のあり方について真剣に考えていくべきだと思っています。

「女性」でくくられているうちは未熟

「働く女性」「女性管理職」「キャリアウーマン」「女性起業家」「●●女子」など、あえて女性であることを強調するキーワードをビジネスの世界で見かけることもありますが、どんな職業であれ“女性”というくくりで見られているうちは、はっきり言って未熟です。

この記事も「女性営業」をテーマとしていますが、最終的には女性であろうが男性であろうが、最終的には性別関係なくヒューマンとして評価され、顧客と対等なパートナー関係を築くことを目指しています。

これは決して、女性らしくあることを否定しているわけではありません。女性らしさは営業の場面においても、大きな武器になることも多々あります。女性特有の柔らかさや細やかさ、気遣いのスキルは、顧客との心の距離を縮めるのに役に立ちますし、実際に、第一印象で相手に好感を持たれやすいのも事実です。

しかし、その一方で、“かわいい”や“愛嬌がある”という理由だけでチヤホヤされているだけでは、決して一流のビジネスパーソンとは言えません。一時的に好印象を持たれるだけでなく、最終的に長期的な信頼関係を築くためには、外見の印象力や性別だけに依存しない実力が求められます。これこそが「ウーマン」ではなく、「ヒューマン」として評価されるために必要な条件です。