京都大では2015年築の新棟も廃寮の対象に

寄宿料が安く、学生の自治で運営されている寮を廃止する動きは他の国立大学でも起きている。最も知られているのが京都大学の吉田寮だ。現役の学生寮では日本最古と言われる現棟は1913年に竣工している。

筆者撮影
京都大学吉田寮現棟(2021年10月撮影)
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京都大学吉田寮入口(2022年4月撮影)

吉田寮の寄宿料は400円で、他の費用を合わせても月額の寮費は約2500円程度しかかからない。入寮に性別要件は廃止され、留学生、科目等履修生、聴講生などにも門戸が開かれている。経済的な事情を抱えたすべての学生にとって欠かせない存在だ。

吉田寮自治会と大学側は、「大学当局は吉田寮の運営について一方的な決定を行わず、吉田寮自治会と話し合い、合意の上で決定する」ことを「確約書」で確認していた。ところが、大学側は2017年12月に突然方針を変えて、老朽化を理由に新規入寮の停止と全寮生の退舎を求めた。しかし、寮生は老朽化という理由を信じなかった。なぜなら、その対象に2015年に完成したばかりの新棟も含まれていたからだ。

大学側が寮生45人を提訴した

さらに、2019年6月に当時の監事から出された大学の監査報告書には、「月額400円という時代錯誤的な寄宿料は、到底納税者の理解を得ることができない」と記載された。寮の自治会が入寮者を選考する自治も否定している。監事は文部科学大臣が任命している役職だ。

吉田寮自治会は話し合いの継続を求めたが大学は認めず、強硬な手段を取り始めた。2019年、大学側は現棟と食堂への立ち入り禁止を宣言すると、同年4月と2020年3月に寮生と元寮生あわせて45人を提訴した。寮自治会は裁判の取り下げと話し合いの再開を求めている。

この裁判では2023年2月と3月に証人尋問が行われた。寮生側から6人が証人に立った。そのうちの1人で大学院に通う寮生は、裁判官に次のように訴えた。

「老朽化が関係ないことは、新棟から退去を求めていることでも明らかです。私たちは話し合いを原則として、自治的な運営をしてきました。自治を否定する大学の姿勢は、対話を基本とする教育機関として恥ずべきことです」

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証人尋問が行われた京都地方裁判所(2023年3月27日)