大学による「中核派系全学連の拠点のひとつ」の記述

寮の自治を問題視している国立大学は他にもある。東北大学が去年3月に公開した「入寮希望者ならびに保護者の皆様へ」というパンフレットを見ると、日就寮のところに異様な記述がある。

「管理運営等」の説明には、「寮生で構成する寮委員会が自治を強く標榜し、独自の方針の下、運営しています」とある。自治による運営に問題があるかのような書き方だ。

さらに、「特記事項」には「中核派系全学連が拠点のひとつに位置付けています」という記述がある。

しかし現在寮内で中核派系の活動が行われている事実はない。寮生側は中核派系の拠点の実態はないと抗議した。すると、大学側は去年6月のパンフレットでは「かつて中核派系全学連が拠点のひとつに位置付けていました」という表記に変更している。

ただ、こんなことをわざわざ記載する必要はないだろう。このように入寮しづらい雰囲気をつくることも、自治寮に対する攻撃の一つと言えるかもしれない。

東北大学の寮を案内するパンフレット(© 2023年 東北大学

教員有志30人が退寮期限延期を要請

それぞれの自治寮は、寮に関するあらゆる事項を寮生全員で話し合い、全会一致で決めてきた。運営は民主主義に基づいていて、立場の違う人を認め合う学びの場としての側面は大きい。また、卒業生や地域の人々とも交流し、寮祭などのイベントも長い歴史を持つ。歴史ある学生寮を廃止することは、学生たちが自ら築いてきた文化や、地域とのつながりを壊すことにもなる。

泉学寮の廃止を巡っては、3月27日に金沢大学の教員有志30人が退寮期限の延期や対応の見直しなどを求める要請書を学長に提出した。吉田寮については、京都大学職員組合など教員らが裁判を闘う学生を支援している。

しかし、格安な寮の廃止は今後も加速する可能性がある。寄宿舎は、これまで大学設置基準で「なるべく」備えるものとされてきた。ところが、2022年10月に施行された改正によって、「必要に応じて」設けるものと変更された。