貯蓄や投資のノウハウは学校で教えなくてもいい
さてここまで、お金にまつわる思い込みや勘違いについて、歴史的な面も含めて考えてきました。前節で、明治期に入ってから貯蓄教育が一生懸命実施されたということを書きましたが、本来、学校教育において、「貯蓄」や「投資」について詳しく教える必要があるのかについて、私は疑問に思っています。
それはお金が汚いものだとか、お金のことを考えるのははしたないことだとか、そういう理由から教えるべきではないというのではありません。むしろ逆です。教育の場においては、「貯蓄」や「投資」のノウハウなど教える必要はなく、それよりも「お金の常識」をきちんと教えるべきだと思います。
世の中には「お金の常識」を知らない人が多すぎます。そういうものを誰からも学ぶことなく大人になってしまったために、変な金融詐欺や怪しげな商法に引っかかってしまう人が後を絶たないのです。
「自分の頭で考える」ことを教えるべき
したがって、お金の常識は学校でしっかり教えた方がよいと思います。その上で、どうすればいいのかを考えるのは自分です。貯蓄や投資は、自分で考えて、必要だと思えばやればいいですし、その中身については自分で納得のいくまで勉強すべきです。
「何か儲かりそうなモノはありませんか?」とか「上がりそうな株を教えてください」というセリフの中には、「自分で考えるのが面倒だから、人に教えてもらえばいい、どうせ不労所得なんだから」という考えが見え隠れします。そんな考えが生まれてくるのはお金の常識や投資の本質を理解していないからなのです。
大切なことは「自分の頭で考える」ということです。そして考えるにあたっては「お金の本質」がどういうものかを知っておく必要があります。