「私は理解できるけど他の人は良く思わないかもね」

小売業界で働く30代のTさんの場合はどうか。Tさんの目から見て、いつもキビキビハキハキしていて“しっかり者”の直属の女性上司(40代前半)に、昼休みの雑談の中で、「生理痛がひどく、一日中起きられないこともあるうえ、精神的なイライラやモヤモヤにも襲われる」という生理の不調を明かしたところ、「私は理解できるけど、他の人はあまり良く思わないかもね」と言われたという。

表面上は責めるトーンではなかったものの、Tさんはこう感じたそうだ。

「生理痛がひどくてどうしても出社できないときは、いつもその上司に連絡をしているので、邪な考え方かもしれませんが、本当はその女性上司自身も良く思っていなくて、“他の人”という言葉を使うことで自分を守りつつ、私に釘を刺したのかなと思いました」

以上の調査結果から求められることは、生理がない男性だけでなく、生理の不調がなかった、もしくは軽かった女性も、「生理の不調が重い女性が存在することを認め、配慮すること」ではないだろうか。

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「生理による不快な症状は、医療機関で治療できると知っていた?」との問いには、「知っていた」と答えた男性管理職が56.4%だったのに対し、女性管理職は88.2%。

先のデータでも紹介したように、女性管理職は、「つらい症状がある(あった)が治療などで乗り越えた」人の割合が多い。もしかしたら、「自分が乗り越えられたのだから、みんな乗り越えられるはず」と思っているのかもしれない。

だが、生理による不調の重さも症状も、人それぞれ。少なくとも、9割近い女性管理職が「生理による不快な症状は医療機関で治療できる」と知っているのなら、生理で苦しんでいる女性の部下に、医療機関を受診するよう声かけするべきではないか。少なくとも「症状がひどくないのに生理休暇を使っている女性がいる」などと傍観している場合ではない。