なぜ女性管理職は男性管理職より生理不調に厳しいのか
はじめに押さえておきたいのは、月経のしんどさとはどんなものかということだ。
2021年の同研究所の調査によれば、「月経前や月経の最中、仕事や勉強の効率が落ち、生産性は約6割にダウンしている」と回答したのは、働く女性(調査対象1956人)の7割超とかなりの高率だった。さらに効率が落ちていると感じる日数は、平均4.85日間。つまり、毎月約5日間=年60日=2カ月間も不調に悩まされていることが浮き彫りとなった。
7割超の女性が年間60日間も苦しむ……そんな戦力ダウンの状況に職場の上司はどう対処しているのか。同研究所は2022年夏、40代以下の女性社員を評価・指導する立場にある管理職389人(男性220人、女性169人)に調査した。
まず、女性管理職と10~40代の働く女性624人(21年調査)への同じ質問に対する回答を比較してみる。
「(生理による)つらい症状はほとんどない(なかった)」
女性管理職:9.5% 働く女性:2.1%
「つらい症状がある(あった)が治療などで乗り越えた」
女性管理職:7.7% 働く女性:4.8%
以上2項目から、女性管理職に生理による不快な症状がない人やなかった人、あったが治療などで乗り越えた人の割合が多いことがわかった。
驚いたのは次の質問に対する、管理職の性別による意識差である。
男性管理職:「ある」14.9%「ない」33.3%「わからない」51.7%
女性管理職:「ある」25.4%「ない」31.0%「わからない」45.7%
「ある」と答えた女性管理職が、男性管理職よりはるかに多かったのだ。「ズルをして生理休暇をとる女性社員がいる」との認識が強ければ、当然対応も鈍くなる。
「すでに対処している部分もあるが、もっと対処すべきだ」
「全くしていないので、対処すべきだと思う」
と回答している人は、男性管理職74.1%、働く女性72.3%と同水準だった反面、女性管理職は61.5%と低かった。もっと明確に「対処すべきとは思わない」と回答しているのは男性管理職11.4%、女性管理職14.8%。これも女性管理職の数字が上回った。