「良い姿勢」とはどのような姿勢なのか。整体師の片山洋次郎さんは「『気をつけ』のような立ち姿は一見良い姿勢に見えるが、本当の意味で良い姿勢ではない。人間がこのような『見た目』のいい姿勢を維持しようとするのは無理がある」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、片山洋次郎『姿勢をゆるめる 疲れない身体と心の整え方』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。 

ソファで背中を丸めてスマートフォンを見る女性
写真=iStock.com/qizai00
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“良い姿勢”とはなにか

「良い姿勢」と聞いて、あなたはどんな姿勢を思い浮かべるでしょうか。

背筋がピシッと伸びて、胸が開いている。

背骨がシュッと立っていて、あごをきちんと引いている。

そんな直立不動の姿勢をイメージする方は多いかもしれません。

確かに、「気をつけ」をしているような立ち姿は、一見すると良い姿勢に見えます。

私たちが学校や家庭で教えられたのも、まさにこの姿勢です。

しかしそれは、本当の意味で良い姿勢ではありません。

人間は、つねに変化している生き物です。1日働けば夕方には疲れるし、季節や年齢、生活環境などによって体調は変わります。その人間が、ずっと背筋を伸ばし、先ほどのような「見た目」のいい姿勢を維持しようとするのは無理があります。

見せかけだけの良い姿勢は、「持続可能」ではなさそうです。形のみが整った姿勢ではなく、質的に「良い姿勢」とはどんなものか。

私たちは日々の生活や仕事の中で、まっすぐな姿勢以外にも、必要に応じていろいろな姿勢や動作を繰り返します。集中するためにも、リラックスするためにも姿勢は大切です。