なぜ人は貧乏ゆすりをしたり、脚を組んだりひじをついたりしてしまうのか。整体師の片山洋次郎さんは「こうした『行儀が悪い』『姿勢がよくない』ことは、人が無意識に固まった部分をゆるめ、疲れを軽減させようとする動き。状況さえゆるせば時々やった方が、身体にストレスがかからない」という――。(第2回/全3回)
※本稿は、片山洋次郎『姿勢をゆるめる 疲れない身体と心の整え方』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。
行儀が悪い姿勢には、メリットがある
人の身体はよくできていて、無意識のうちに固まった部分をゆるめ、疲れを軽減させようとする動きをとっています。
たとえば、緊張が続く時に「貧乏ゆすり」をする人がいますね。貧乏ゆすりはその人が無意識にやっていることですが、実は、股関節を動かして体幹の底から姿勢をほぐす効果があるのです。
それ以外にも私たちは、自分では意識せずに姿勢をほぐし固まらないようにしています。たとえば脚を組んだりひじをついたり、背もたれや壁に寄りかかったり……。そういった姿勢は、たいてい「行儀が悪い」「姿勢がよくない」と言われます。
しかし、身体がゆるもうとして本能的にやっていることですから、状況さえ許せば時々やっておいた方が身体にストレスはかかりません。
その他にも、たとえばデスクワークをしていて、ふとトイレに行きたくなったり、席を立ってお茶を飲みに行きたくなったりするのも、身体が緊張を解いて休みたいと欲している証拠です。また椅子に座ってあぐらをかいたり、椅子の上に片脚だけ立てたりする人がいますが、これも無意識で自分の楽な姿勢、身体がゆるむ姿勢を選んでいます。
どんな動きが本人にとって心地いいのかは、一人ひとり違います。しかし、普段自然にとっている姿勢や行動がリセットになっていたり、自分の中でリズムを作っていたりすることに変わりはありません。
言い換えれば、自分自身の日頃の動きを見れば、自分の身体を調整していくすべを再発見できるのです。
では、私たちが無意識でリラックスするためにやっている、ゆるむ姿勢にはどんなバリエーションがあるでしょうか。